自動車整備士が教えるエンジンオイル交換 ダイハツ ハイゼットで徹底解説

EBD-S321V HIJET

はじめに

インターネットの普及により有益な情報が一昔前よりは簡単に入手できるようになりました。しかしながら、欲しい情報の核心的な部分は公開されておらず肝心な部分が分からない事もよくあります。

国産車は日本自動車整備振興会連合会が会員向けに提供しているFAINES(ファイネス)やオーナー自らが正規ディーラーで購入や問い合わせすることで、整備要領書が確認出来ますが、一般ユーザーにとっては馴染みが無く、読み取り方法も独特で理解しづらいと思います。

そこで今回は、ダイハツ ハイゼット カーゴ(DAIHATSUHIJET CARGOEBD-S321Vエンジンオイル交換、エンジンオイルフィルター(エレメント)交換について徹底解説します。作業におけるカンコツや、締め付けトルク値についても実際の作業写真を交えて解説します。

ハイゼットは現行軽自動車の中でトラックタイプは60年、カーゴ(バン)タイプは59年と最も販売期間が長く、生産台数も多いです。定期的なメンテナンスをオーナー自らが行うことで愛車の状態把握ができ不具合を未然に防ぐことが出来ます。この記事をご覧になりご自身でエンジンオイル交換に挑戦される方が一人でも増えれば幸いです。

車両情報

・車名:ダイハツ
・型式:EBD-S321V
・原動機の型式:KF-VE
・総排気量又は定格出力:0.65L
・初度登録年月:2014年(平成26年)4月

購入部品

エンジンオイル・オイルフィルター交換にあたり事前に準備した部品は以下の通りです。順に解説します。

エンジンオイル

エンジンオイルはダイハツ純正のAMMiX(アミックス) EXTRA 5W−30 20L缶を準備しました。ちなみに部品番号は08701-K9055です。カー用品店に行かずとも直接、以下のリンク先から”格安”で購入できます。

20L缶を買いたいけど、保管場所がない。。。といった方には4L缶をおすすめします。部品番号は08701-K9056です。こちらも以下のリンク先から”格安”で購入できます。

エンジンオイルフィルター(エレメント)

今回準備したオイルフィルターはDrive Joy(DJ)製のオイルフィルターです。DJ製の場合、部品番号はV9111-0106です。DJ製も純正同様に安心して使用できます。

オイルエレメント ハイゼットカーゴ S321V/S331V用 V9111-0106
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ダイハツ純正部品を準備する場合、部品番号は15601-87204となります。

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ドレンプラグガスケット(ドレンパッキン)

ドレンプラグガスケット(ドレンパッキン)は再使用不可部品ですので必ず交換しましょう。ガスケットがボルトの軸力により圧縮され、ドレンボルトとオイルパンに密着することでシールする仕組みとなっています。ダイハツ ハイゼットのドレンプラグガスケットは内径が14mmのタイプになります。

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ポイパック

エンジンから排出されたエンジンオイルを処分する際にはポイパックがあると廃油処理が簡単です。ハイゼット(EBD-S321V)の場合、排出量は約3.4Lですのでポイパックのサイズは4.5L用が丁度良いです。

オイルジョッキ

オイルジョッキは蓋があると埃・虫の混入が防げますので蓋付きのもので5Lのものが重量は重くなりますがオススメです。

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計量ボトル

エンジンオイル交換で最も重要なことはエンジンオイルの排出量管理です。どのくらいエンジンからエンジンオイルが排出されたか定量的に確認した上で、新しいオイルを注入することをお勧めします。

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使用工具一覧

今回使用した工具を紹介します。詳細については作業紹介の中で順に説明していきます。

作業紹介

シート跳ね上げ

ハイゼット(EBD-S321V)やキャリーのような商用車のエンジンの位置はご存知の方も多いですが、運転席・助手席シートの真下にあります。よって、エンジンオイルを交換する際にはシートの跳ね上げ作業が必要です。跳ね上げ方については順に解説します。

助手席シート下のフロアカーペットを手でめくるとシートロックが出現します。

助手席 車両側のシートロックの写真が以下です。

助手席 ドア側のシートロックの写真が以下です。

指でシートロックを持ち上げると簡単にロック解除できます。

解除する際にロックが硬い場合はシートを上から押さえながらロック解除するとより簡単に解除できます。

助手席 車両側のシートロックも同様にロックを解除します。

シートリクライナーを上向きに引き上げて

シートの角度を前側に倒し

シートを跳ね上げます。

シートが跳ね上がるとエンジンオイルフィラープラグ(注ぎ口)が見えます。

運転席側も同様にシート下のフロアカーペットをめくるとシートロックが出現します。

運転席側のシートロックも同様にロックを解除します。

シートを跳ね上げるとエンジンの右側が出現します。

オイル量の把握

エンジンオイルを抜く前に、車両が水平になっていることを確認し現状のオイル量をオイルレベルゲージを使い確認します。オイルレベルゲージは運転席側を確認すると以下の位置にあります。

さらに拡大した写真が以下です。

オイルレベルゲージの使用方法は、オイルレベルゲージをエンジンから引き抜き、毛羽立ちにくいショップタオル等を使用して、レベルゲージ先端のエンジンオイルを一度拭き取り、再度エンジン内に挿入し引き抜きます。

そしてレベルゲージに付着したエンジンオイルの位置によりオイル量を把握します。

私がいつも愛用しているショップタオルは以下の商品です。

交換前のオイル量を把握する事はエンジンオーバーホールの要否判断に繋がりますのでとても大切です。ちなみに、車種によっても差はありますが、オイルレベルゲージのHigh(上限)とLow(下限)の差は約1Lとなります。

フィラープラグ・オイルレベルゲージの取り外し

ドレンボルトを緩める前にフィラープラグ(注ぎ口)とオイルレベルゲージを抜いておくとエンジン内部に空気が入るため、早くエンジンオイルを抜くことができます。

フィラープラグを外した際は、フィラープラグの中央部が乳化(エンジンオイルと水分が混ざって白くなる現象)していないかも点検しておきます。

作業スペースの確保

フロアジャッキを使用し、車両をジャッキアップします。ジャッキアップについてはこちらの記事をご覧ください。安全なジャッキアップ方法について解説しています。

なお、ハイゼット EBD-S321Vの取扱説明書で指定されているジャッキアップポイントは以下の位置となります。

フロント ジャッキアップポイント
リア ジャッキアップポイント

オイルドレンプラグ・オイルフィルター位置確認

ハイゼット(EBD-S321V)のオイルドレンプラグ(ボルト)及びオイルフィルターは車両のフロア側(下側)にあります。アンダーカバーにサービスホールが設定されており、オイル&オイルフィルター交換であればアンダーカバーを取り外さずに作業できます。

オイルドレンプラグ(ボルト)を拡大した写真が以下です。

アンダーカバーを真上に見上げた位置にオイルフィルターがあります。

エンジンオイルドレンプラグ(ボルト)取り外し

エンジンオイルドレンプラグの二面幅は17mmです。メガネレンチやラチェットレンチを使用して緩めます。

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またオイル排出の際には下記リンクのような専用工具があると火傷やオイル汚れのリスクを無くせます。

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エンジンオイル排出量の把握

エンジンオイル交換作業において、オイルの排出量を把握することは非常に重要です。排出量の管理は専用の計量カップの使用や自作トレイ等を使用して行います。

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100円均一で販売されているトレイ

実際に使用している写真は以下です。

ドレンボルト取り付け

取り外したドレンボルトをパーツクリーナーで清掃し、新しいガスケット(ドレーンプラグワッシャ)をドレンボルトにセットして車両に取り付けます。車両側も併せてパーツクリーナーで清掃します。

ガスケットは再使用不可部品です。必ず交換しましょう。再使用すると普通にエンジンオイルが漏れます。トルクレンチを使用してしっかりと締め付けます。

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エンジンオイルフィルター取り外し

ハイゼット(EBD-S321V)のエンジンオイルフィルターはフィルターレンチを使用して取り外します。

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オイルフィルターのOリングが熱でエンジン側に固着している場合が多く、取り外し時は結構な力が必要です。腕の長い工具を使うと簡単に外せます。

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オイルフィルターを少し緩めた状態でオイルが完全に滴下するまでしばらく待ちます。

オイルフィルターを取り外した状態が以下の写真です。

エンジンオイルフィルター取り付け

取り付け面に砂等のゴミが残っているとゴムパッキンを傷つけるリスクがありますので、新しいフィルターを取り付ける前にエンジン側の取り付け面をショップタオル等を使用して清掃します。

新しいオイルフィルターのパッキンの周囲に新しいエンジンオイルを指で塗布し、車両に取り付けます。オイルフィルターの締め付けは『オイルフィルターがエンジン側取り付け面に当たってから3/4回転締め付ける』と適正な締め付けトルクになります。

エンジンオイル注入

エンジンオイルを注入する前に、深呼吸してドレンボルトは締めたかな?オイルフィルターは締めたかな?と確認する事が非常に大切です。床に新油をぶちまけないようにしましょう。

また、20L缶からエンジンオイルを注ぐ場合、こぼしてしまうリスクが高いため、専用品のオイルサーバーや灯油ポンプがあると非常に便利です。

エンジンオイルが注入できましたら、フィラーキャップを閉めて、オイルレベルゲージを戻し、エンジンを始動し、エンジンオイルを循環させた後に10分以上経過してから、オイル量をオイルレベルゲージで確認します。少なければさらに補充してレベルゲージの上限に合わせれば作業完了です。

なお、万が一、エンジンオイルを入れ過ぎてしまった際は落ち着いてこちらの記事をご覧ください。

最後に

いかがだったでしょうか。エンジンオイル交換は自動車整備(車いじり)の中でも初歩的な作業ですが、突き詰めるとかなり奥が深いことが分かっていただけたかと思います。定期的なエンジンオイル交換はエンジンを良い状態で維持していくのに最良の手段です。DIYでやるには一番オススメな作業です。

最後までご覧頂き、ありがとうございました。車いじりの参考になれば幸いです。コメントやお問合せもお待ちしております。コメントは記事の最下段にある【コメントを書き込む】までお願いします。また、YouTubeも公開しています。併せてご覧頂き、”チャンネル登録”、”高評価”もよろしくお願いいたします。YouTubeリンクはこちら



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コメント

  1. ひろ より:

    新しいオイルを入れる際どのぐらいの量入れたら良いですか

    • Owner より:

      基本は車両に付属しているマニュアル(紙の冊子)に記載された量を注入しましょう。エンジンオイル交換前にレベルゲージを使い量を確認し、排出した量と同量の新油を注入するのが一番効率が良いでしょう。