自動車整備士が教えるエンジンオイルを入れ過ぎた時の対処法 徹底解説

整備ノウハウ

はじめに

DIYでエンジンオイルを交換したことがある方の中で、エンジンオイルを入れ過ぎてしまった経験がある方は意外と多いのではないでしょうか?

エンジンオイルを入れ過ぎたままの状態で乗り続けると”ウォーターハンマー”によりエンジンを壊してしまう恐れがあります。

入れ過ぎてしまったエンジンオイルを再度オイルドレンボルトから抜くことは非現実的です。そこで今回はNISSAN S15 シルビアを用いて入れ過ぎてしまったエンジンオイルの抜き方について徹底解説します。

車種はシルビアだけでなく、ほぼ全ての車種に流用できますので自動車整備の参考になれば幸いです。

エンジンオイルを入れ過ぎてしまう原因はソークの不足

そもそもなぜエンジンオイルを入れ過ぎてしまうのでしょうか?それはエンジンオイル量が3.5Lの車両に4.0L入れてしまったからというような単純な理由ではありません。

エンジンオイルは粘度が高く、エンジン始動によりエンジン上部に上がったエンジンオイルが完全に滴下してくるまで正確なエンジンオイル量が測れないことに起因しています。

自動車業界ではエンジン停止状態のことをソークと呼び、ソークが不足しているとエンジンオイルが完全に滴下しておらず、エンジンオイルレベルゲージは油量を低く示します。その少ない油量を基準に不足分を補充してしまうと結果的にエンジンオイルを入れ過ぎてしまうことになります。”ソーク”はエンジンオイルの油量を確認する際に一番重要な要件です。

また”ソーク”はエンジン内部の形状やエンジンと車体との取り付け角度の違いなどで車種毎に異なりますので、ご自身の車種に合った適切な時間を守った油量管理がとても大切です。車種によってはソークが3時間必要な車種もありますので注意が必要です。

入れ過ぎてしまったエンジンオイルを抜く方法

入れ過ぎてしまったエンジンオイルを抜くにはエンジンオイルレベルゲージの穴に外径5mm、内径3mmのチューブを挿入し、シリンジ(注射器)やオイルチェンジャーを使い上抜きします。

オイルレベルゲージの穴を利用します
外径5mm、内径3mmのチューブ
実際にチューブを挿入した写真

使用工具紹介

今回は手間は掛かるがコスパの良い方法と、コストは掛かるが楽な方法についてそれぞれ紹介します。コスパの良い方法で使用する工具はシリンジ(プラスチック注射器)です。シリンジはASTROPRODUCTS製をいつも使用しています。

コストは掛かるが楽な方法で使用する工具はオイルチェンジャーです。本来の使用用途はブレーキフルード等の粘度の低い油脂類を吸引するための専用工具ですが、エンジンオイルのような比較的高粘度の油脂類でも吸引が可能です。

こちらの商品リンクから直接購入が可能です。材料を0から集めて自作してもこの値段では到底作れません。コスパ最強ツールの一つです。

参考までに商品紹介写真も掲載します。

またエンジンオイルを吸引するにはエアコンプレッサーが別途必要です。私がいつも使用しているエアコンプレッサーは【ASTROPRODUCTS】の製品と【RYOBI】のACP−60です。

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タンクは10Lと小さいですが、その分、エアーが貯まるまでの時間が短く使いやすいです。本体に元々キャスターが付いていますので持ち運びも簡単にできます。

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作業紹介

作業方法は至って簡単です。エンジンオイルレベルゲージを抜き取り、ゲージの穴に外径5mmのチューブを挿入します。オイルチェンジャーに付属しているテーパー状のパイプを使用しチューブ径を合わせてオイルチェンジャーに接続します。

コンプレッサーの電源を入れ、圧縮したエアーをオイルチェンジャーに導入すればエンジンオイルを吸引することができます。抜きたいエンジンオイル量になるまで作業を継続します。

エンジンオイル抜き取りが完了しましたら、再度エンジンを始動しエンジン内のエンジンオイルを回した後にエンジンを停止させ完全にエンジンオイルが滴下したら、エンジンオイル量を測ります。

最後に

いかがだったでしょうか。エンジンオイルを入れ過ぎた場合、見て見ぬふりをする人は意外と多いと思います。手間は掛かるがコスパの良い方法であれば数百円でエンジンオイルの抜き取りは可能です。万が一の際に参考にしていただけますと幸いです。

今回の記事以外にもたくさんの整備記事を記載しています。是非ご覧くださいませ。

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