自動車整備士が教えるブレーキフルード(液)交換 徹底解説

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はじめに

マイカーをお持ちの方は新車であれば初回は3年、次回以降は2年毎に必ず車検を受ける義務があります。その際にブレーキフルード(液)は必ず交換していると思います。今回は知っているようで知らないブレーキフルード交換について様々な角度から徹底的に解説します。知っていると知らないとでは雲泥の差になりますので是非最後までご覧ください。



ブレーキフルード?ブレーキオイル?違いは

ブレーキフルードは、油圧式ブレーキの車両には必要不可欠な液体です。ブレーキ・ペダルを踏み込むと、マスタ・シリンダによって発生した液圧はブレーキキャリパー内のピストンに伝わりピストンを押し出すことでブレーキパッドが動き制動力が発生します。よって潤滑目的で使用されている油脂類を『○○○オイル』と言いますが、今回のような”圧力”を伝える目的で使用されている液体は『フルード』と呼ばれます。

よって正式にはブレーキオイルではなくブレーキフルードが正解です。きちんと使い分けると”違いのわかる大人”になれます。

また、万が一、外出先(山奥等)で何かの不具合でブレーキフルードが空っぽになってしまった際は、オイルを充填するのではなく水を充填します。間違ってオイルを入れてしまうと全配管の交換が必要になってしまいますので注意が必要です(そんな機会はまずないと思いますが)



ブレーキフルードの交換が必要な理由

ブレーキフルードはブレーキローターとブレーキパッドが接触して発生する摩擦熱に常にさらされています。ブレーキフルードが摩擦熱で沸騰すると気泡が生じて、液圧がうまくピストンに伝わらなくなります。

また、ブレーキフルードは吸湿性が高い成分でできており、水分を取り込むにつれてブレーキフルードの沸点が下がりより沸騰しやすくなります。負のスパイラルです。

ブレーキフルードの劣化については空気に触れて酸化が進むと”茶色”や”黒色”に変化していきますので色でもある程度判断ができます。

劣化もそうですが、ダストも混入しています

ちなみに、ブレーキフルードは循環していませんので必ずブレーキブリーダープラグから抜きましょう



エアーブリーダープラグとは

エアーブリーダープラグは”栓でありながら通路でもある”先端がテーパー状になっているネジです。

スズキ純正部品 55151-76G00
GF-MC11S ワゴンR用です

エアーブリーダープラグのの機能は、エアーブリーダープラグの先端とキャリパー側の雌ネジの奥が共にテーパー状に加工されており、それぞれが密着する事で成立します。

エアを抜くための通路の機能は、エアーブリーダープラグを少し緩めてエアーブリーダープラグとキャリパーのテーパー接触部分に少し隙間ができた状態でブレーキペダルを踏むと、その隙間からキャリパー内のエアが優先的に押し出されて横穴を通り、縦穴を通過してエアーブリーダープラグの上部から抜けるというのがエア抜きの原理です。

横穴と縦穴はネジの内部で繋がっています

ガスケットがオイルパンに潰れながら密着して、ネジ部に加わる軸力で緩みを防止して漏れを防いでいるオイルドレンボルトとは仕組みが全く異なります。



エアー噛み、エアー抜きとは

エアー噛みとはブレーキ配管経路の中にエアー(空気)が入っている状態のことです。”空気は圧縮されます”が”液体は圧縮されません”。ブレーキ配管経路の中にエアーがあるとそのエアーが圧縮されてしまうため、液圧が低下し、ブレーキの効きが弱くなります。(ふわふわした感じになります)

よって、ブレーキ系統の整備をした際は必ず4輪ともエアー抜きが必要です。



ブレーキフルード交換工賃は

工賃は正規ディーラーや町工場、カー用品店などによってまちまちです。ざっくり相場ですが、正規ディーラーでは10,000円程度、指定整備工場では5,000円程度、カー用品店では3,000円程度とかなり幅があります。主にレバーレート(時間単価)の差使用する材料(ブレーキフルード)で価格が決まります。



ブレーキフルード交換を自分でするといくら

一方で、使用者自らが交換した場合の相場は約1,000円程度(初回は+工具代)です。材料(ブレーキフルード)のみの価格です。手間は掛かりますが、価格面では圧勝です。



ブレーキフルードの充填方法(生産工場での作業)

車いじりではほぼ無用な知識ですが、生産工場ではブレーキリザーバータンクにブレーキフルード充填ガンをセットして、ブレーキ配管経路を真空にした後に、一気にフルードを充填します。この方法で充填できるのは配管経路に一切ブレーキフルードが無いためで、一度ブレーキフルードが配管に入ると真空引きでの充填はできなくなります。



ブレーキフルード交換を個人でやると法律違反になるのか?

結論から記載すると自動車の使用者が自分の車で実施する整備において違法となる整備は存在しません

【道路運送車両法 第47条】には以下のように記載されています。

自動車の使用者は、前二項の規定による点検の結果、当該自動車が保安基準に適合しなくなるおそれがある状態又は適合しない状態にあるときは、保安基準に適合しなくなるおそれをなくするため、又は保安基準に適合させるために当該自動車について必要な整備をしなければならない

道路運送車両法 第四十七条の二

つまり、整備してはいけません!ではなく、逆に整備しなさいと記載されています。法律上使用者が禁止されている整備が存在する訳ではありません。だからと言って、違法改造は法律違反です。



最後に

いかがだったでしょうか。いざというときに知っているといつかは役に立つこともあると思います。まだまだ思いつきで記載していますので、わからないことがあればコメント等を頂ければ幸いです。次回は実際のブレーキフルード交換作業について紹介します。

最後までご覧頂き、ありがとうございました。車いじりの参考になれば幸いです。引き続きよろしくお願いします。



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