自動車整備士が教えるスピーカー交換方法 HE12 ノート e-POWERで徹底解説

HE12 NOTE

はじめに

純正スピーカーを【低音を出力するウーファー高音を出力するツィーターがそれぞれ別体になっているタイプの社外スピーカー】に交換する場合、多くの取り付け店ではツィーターをドアトリムの上部に取り付けます

その理由はドアトリムの上部にツィーターを設置した方がドア単体で配線が完結でき、楽に取り付けが完了するからです。

しかしながら、その取り付け方法には弱点があります。それはネットワークと呼ばれる高音のみをツィーターに送る部品(=ハイパスフィルター)がドアの内部に配置・固定されることがあり、ドアの内部は雨や洗車の水が普通に入りますので、非防水のネットワークに直接、水が掛かってしまったり、高湿度が原因故障に繋がります。

そこで今回はそのネットワークをナビ本体の裏側(室内)に配置し、ツィーターをインストの上部に配置するスピーカーの取付方法について日産 ノート HE12 e-POWERを用いて実車の写真を交えながら徹底解説します。

車種が変わってもスピーカー取付の基本は同じですので、ノート HE12 e-POWERにお乗りのオーナーはもちろんの事、他の車種にお乗りのオーナーにとっても有料級の情報となりますのでこの記事を参考にしていただき是非ともご自身の車に高音質なスピーカーを取り付けてみましょう。

車両情報

・車種名称:NISSAN NOTE HE12 e-POWER
・型式:DAA-HE12
・原動機型式:HR12-EM57
・初度登録年月:平成29年(2017年)9月
・総排気量又は定格出力:1.19L
・燃料の種類:ガソリン

購入部品

今回は以下の商品を車両に取付していきます。順に解説します。

スピーカー本体(低音を出力するウーファー、高音を出力するツィーター)

今回はウーファーのサイズが17cm、低音を出力するウーファーと高音を出力するツィーターがそれぞれ別体になっているタイプのスピーカーを取り付けます。また、この商品はハイレゾにも対応しています。

ちなみにツィーターはツイーター、ツイータ、トゥイーターと呼ばれる事もありますが全て同じものを示していますのでこの記事内ではツィーターに統一して表記します。

・メーカー:Pioneer
・型番:carrozzeria TS-C1730SII
・仕様:FLUSH-MOUNT CAR SPEAKER 17cm SEPARATE TWO WAY
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インナーバッフル

インナーバッフルとはオーバーサイズのスピーカーを車両に取り付けるために使用するいわゆるスペーサー(=インナーバッフル)です。車種に合わせて商品を選びましょう。HE12 NOTEには以下の商品を使用します。

・メーカー:Pioneer
・型番:carrozzeria UD-K522
・仕様:高音質インナーバッフル スタンダード パッケージ 17cm
    FOR NISSAN,MAZDA,SUZUKI

ちなみに音をさらにこだわりたい!という方にはこちらのインナーバッフルがオススメです。

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開梱後の写真が以下です。

スピーカーの同梱品は取り付ける車種や取付位置に汎用性を持たせるために大量のオプション部品が入っており、使用しない部品も多々あります。

インナーバッフルにはウーファー外周に貼り付けてドアトリムとの密着性を向上させるエプトシールも付属しています。

 



作業紹介

フロントドアフィニッシャー(通称:ドアトリム)取り外し

ウーファーを取り付ける為にフロントドアフィニッシャー(ドアトリム)を取り外します。

ドアポケットに設定されているビスを1本取り外します。

取り外しには先端がT20のトルクスビットを使用します。

ビスを取り外した後の状態が以下の写真です。

パワーウィンドウスイッチフィニッシャーを取り外します。取り外しはドアポケット部分を指で掴んで真上に引き上げれば簡単に外せます。外しにくい場合は、傷付き防止用にマスキングテープ等をドアトリムに貼り、樹脂ヘラを差し込み取り外します。

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パワーウィンドウスイッチフィニッシャーの裏側にあるコネクター2個の結線を外します。

コネクターのロック部分に先端を丸く削ったマイナスドライバーを押し当てると最も簡単にロック解除が出来ます。

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コネクターを取り外した後の状態です。ちなみにこの部品はNiles THAILAND(ナイルス タイ工場)製です。

パワーウィンドウスイッチフィニッシャーが外せましたらパワーウィンドウスイッチフィニッシャーの取付面に設定されている二面幅10mmのボルト1本を緩めます。

ソケットレンチを使用して緩めます。

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ボルトを取り外した後の状態が以下の写真です。

ドアトリムとドアの間に指を入れて膝でドアを押さえながら勢いよくドアトリムを手前に引くとドアトリムが簡単に外せます。ドアトリムがドアから外しにくい場合はドアノブ下の樹脂クリップ2個が外れていない場合が多いのでドアノブの下を手前に持ち上げながらドアトリムを引き上げると外しやすいです。

ドアトリムとドアを固定している白い樹脂クリップは再使用不可ではありませんが、経年劣化で割れたり保持力が低下しますので全数(片側7個)新品への交換をオススメします。

また、白い樹脂クリップが割れてドア側に残った場合はクリップクランプツールを使うと簡単に取り外せます。

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ドアトリムの樹脂クリップを新品へ交換した後の写真は以下です。

純正スピーカーの取り外し

ドアトリムを取り外した後のドアが以下の写真です。

純正スピーカーは二面幅が10mmのビス3本でドアパネルに直接固定されています。

ソケットレンチ等を使用してビス3本を緩めます。

純正スピーカーに接続されているコネクターは先端を丸く加工したマイナスドライバーを使用してロック部分を押してロックを解除してからスピーカーから引き抜きます。

純正スピーカーを取り外した後の状態が以下の写真です。インナーバッフルを取り付ける前に取付面を清掃しておきましょう。清掃には毛羽立ちが少ないショップタオルがオススメです。

インナーバッフル取り付け

ドアパネルにインナーバッフルを取り付けます。取り付けはインナーバッフルに付属しているボルト&ワッシャー&ナットで固定します。

二面幅が8mmのソケットとメガネレンチを使用して3箇所のボルトが均等に締まるように固定します。

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ウーファーをインナーバッフルに固定する

ウーファーに平端子を接続し、ウーファーの裏面に防振パッキンを貼り付けします。

ウーファーに平端子を接続
裏面に防振パッキンを貼り付け

ウーファーに付属のビス&ワッシャーを使用してインナーバッフルにウーファーを先端が2番のプラスドライバーで固定します。その際に変換コネクターの配線をインナーバッフルに設定されている切り欠きを通してドア外側に通しておくことが大切です。

ウーファーコネクター接続

日産車の場合はウーファーに付属されている接続アダプターのツメをニッパー等でカットして変換コネクター、車両コネクターと嵌合します。

接続アダプター
接続アダプターのツメをカットする

ウーファーに付属されているクッションを貼り付けて防振対策を施し純正ハーネスと一緒にタイラップで固定します。

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ドアトリム取り付け

インナーバッフルに付属されているエプトシーラーをウーファーの外周部分に貼り付け、ドアトリムをドアパネルに取り付けます。

取り付けは取り外しと逆の手順で行います。また、助手席側も同様に作業します。

クラスターリッドC(センタークラスター)取り外し

クラスターリッドC(センタークラスター)の上部を両手で持ち車両後方へ引いて上部のメタルクリップの嵌合を外します。次に、クラスターリッドCの下部を持ち、車両後方へ引いて樹脂爪、メタルクリップの嵌合を外します。さらに、クラスターリッドCの中心部とインストの間に樹脂ヘラを差し込み中心部の樹脂爪、メタルクリップの嵌合を外します。

クラスターリッドCが外せましたらハザードスイッチのコネクターを取り外します。

クラスターリッドCを取り外した後の状態の写真が以下です。

ナビ取り外し

先端サイズが2番のプラスドライバーを使用してナビ固定ビス4本を取り外します。

ナビの液晶部分にプラスドライバーの先端を当てないように慎重に作業しましょう。また、取り外したビスを落とさないように気をつけましょう。

固定ビスが外せましたらナビを手前に引き出します。配線の位置を記録しておくためにも念の為、写真を撮影し記録を残しておきましょう。

ナビ裏配線加工

オプションコネクター(オーディオユニット)をナビから取り外し配線を加工していきます。この車両には社外の電源取り出し用ハーネスが既に接続されていましたので今回はこの社外ハーネスを加工します。社外ハーネスが接続されていない車両の場合はオプションコネクター(オーディオユニット)を直接加工します。

オプションコネクター(オーディオユニット)の端子配列は以下の通りです。今回はフロントスピーカーに関わる4本の配線を加工します。

・2:フロントドアスピーカー(左)+
・3:フロントドアスピーカー(左)−
・11:フロントドアスピーカー(右)+
・12:フロントドアスピーカー(右)−

2、3、11、12の配線をカットし、それぞれにギボシ端子を取り付けます。

ギボシ端子については普通にかしめると非常に抜けやすくなりますので、抜けにくい加工方法についてYouTubeで徹底解説していますので併せてご覧ください。

ネットワークコードに接続されている、端子変換コードを抜き、ネットワークの両端が平端子からギボシ端子になるように差し替えます。(取説に詳しく記載されています)

自分で取り付けたギボシ端子の間にネットワークを割り込ませます。接続が完了しましたらナビ裏のメインハーネスにネットワークをタイラップで固定します。

オプションコネクター(オーディオユニット)及びその他のコネクターをナビに差し込み復元します。

なお、配線の詳細については取付説明書内の”TS-C1730SⅡ ・配線図 2.メインユニット側でトゥイーター用配線(ネットワーク)を分岐する場合”を確認願います。

ナビ裏配線加工(トヨタ車の場合)

さらに、取付車種がトヨタ車の場合は以下のハーネスから信号を分岐します。

・フロントドアスピーカー(左)+:ナビハーネス 白色(車両ハーネスでピンク)
・フロントドアスピーカー(左)− :ナビハーネス 白色+黒ライン(車両ハーネスで紫)
・フロントドアスピーカー(右)+:ナビハーネス 灰色(車両ハーネスで薄緑)
・フロントドアスピーカー(右)− :ナビハーネス 灰色+黒ライン(車両ハーネスで青)
ナビハーネスの場合この4本になります
左から白、白+黒ライン、灰、灰+黒ラインです

Aピラー取り外し

ウェザーストリップを一部取り外し、Aピラーの上部に指を入れて手前に引きAピラーを取り外します。

ノズルサイド取り外し

嵌合部分を樹脂ヘラを使って取り外し、ノズルサイドを取り外します。

取り外した後の状態が以下の写真です。

裏側は以下のようになっています。

グローブボックスリッド取り外し

グローブボックスリッドを開け、グローブボックスリッドアーム部分をインストより外し、グローブボックスリッドをさらに開き車両後方へ引きインストとの嵌合部を外します。

グローブボックスカバー取り外し

ストライカー部分にある取り付けビス2本を先端サイズが2番のプラスドライバーを使って緩め、グローブボックスカバーを車両後方に引き取り外します。

なお、グローブボックスカバーが取り外しにくい場合は養生テープをグローブボックスカバーに貼りテープを押さえながら手前に引き抜くと簡単に外せます。

インストアッパーボックス取り外し

取り付けビス6本(上部2本、中央2本、下部2本)を2番のプラスドライバーを使用して緩めてインストアッパーボックスを車両後方に引き取り外します。

ツィーター配線配策

ツィーター配線をナビ裏からAピラー付け根まで配策します。配策には100均で販売されている自在ワイヤーを使用します。配線を通したい経路に先に自在ワイヤーを通しておき、マスキングテープ等で自在ワイヤーと配線を固定して一緒に引き抜き通します。

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日本化線
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配線はメインハーネスにタイラップで固定しておきます。

固定した後の写真が以下です。

ツィーター固定

インストにはあえて穴を開けずに両面テープでツィーターを固定し、取り外した部品を復元すれば作業は全て完了です。

パワーウィンドウメインスイッチ システム初期化

パワーウィンドウメインスイッチのハーネスコネクターを取り外していますので、システムを初期化します。初期化はドアを閉めて、パワースイッチをONにして、パワーウィンドウスイッチを操作してガラスを半開以上に開け、パワーウィンドウスイッチをオートUP作動位置まで引き上げてガラスが全閉位置で停止した後もスイッチを2秒以上引き上げ続けます。この操作をしないとパワーウィンドウスイッチをオンにしてもオートでガラスが上昇しなくなります。

最後に

いかがだったでしょうか。ナビを取り外して車両側のハーネスに狭い作業スペースでギボシ端子を取り付ける点が今回の作業における難所かと思います。狭い場所でも難なく作業できるように何度も練習することをオススメします。

オーナー自らが作業することで本来業者に払うべき工賃で必要な工具を全て揃えてもお釣りが出ますので、節約にも繋がります見えないところは徹底的に手を抜く業者も世の中にはいますので作業を外注せず愛車のカスタマイズをご自身でされてみてはいかがでしょうか。

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