はじめに
車両購入時に”メーカーオプション”や”ディーラーオプション”でナビゲーションを装着するオーナーが非常に多いですが、これらは性能の割に値段が高額です。
オーナー自身でナビゲーションを取り付けることで工賃の節約だけでなく、走行中にTVを見れるようにしたり、ディーラーでは受け付けてくれない2DIN仕様の車両に2DIN WIDE仕様のナビゲーションを取付たり、ナビゲーション裏の配線収納にこだわったりも出来ます。
そこで今回は、ナビゲーションの取付方法について日産 キックス(KIX)H59Aを用いて自動車整備士である私が誰でも理解しやすいように実車の写真を交えながら徹底解説します。
作業におけるカンコツや取付業者が絶対に教えたくない情報を包み隠さず全て無料で公開します。
さらにこの記事をご覧頂くことで以下のことが理解出来ます。
・オーディオコネクター 14PINのコネクター配列が分かる
・ナビ裏の配線をコンパクトにする方法が分かる
・走行中にTVを見れるようにする方法が分かる
・バック信号の取り出し方法が分かる
・集中アースの作り方が分かる
・2DIN仕様の車両に2DIN WIDEのナビを取り付ける方法が分かる
この記事を最後までご覧になりご自身でナビゲーションの取付に挑戦される方が一人でも増えれば幸いです。
車両情報
・車名:ニッサン
・型式:PA0(H59A)
・原動機の型式:4A30
・総排気量又は定格出力:659cc
・変速機:5速MT
・リフトアップ車両
購入部品
ナビゲーション取付にあたり事前に準備した部品は以下の通りです。ナビゲーション本体はPanasonic製のStrada CN-AS300WD(2DIN WIDE仕様)を準備しました。ちなみにこのナビゲーションは以前にK13マーチで使用していました。
車両を入れ替える場合は地デジアンテナが再利用不可(一度剥がすと貼り直しが困難なため)となりますので地デジアンテナのみ再購入します。以下のリンク先からPanasonic純正部品が直接購入出来ます。
使用工具紹介
今回使用した工具は以下の写真の通りです。詳細については作業紹介の中で順次解説します。
作業紹介
モニターの傷付き防止処理
車両に搭載する際にモニターに傷が入るリスクがありますので、傷付き防止のためにモニター部分をキッチンペーパー等で養生します。
車両側オーディオコネクター(14PIN)端子配列解説
車両にナビゲーションを接続するには市販されている変換ハーネスを使用すると簡単に作業が出来ます。
変換ハーネスを使用せずに車両側のコネクターから直接分岐するには以下の情報を参考にしてください。
数字ではなくハーネスの色を確認し接続ください。
ナビゲーション台上接続確認
車両に搭載する前に、机上でナビに配線を仮接続します。その他の配線も全て仮配線します。仮配線することで、作業ボリュームが可視化できます。
車速信号コード 短縮化
ピンク色の車速信号コードは信号をメーター裏のコネクターやABSの車速信号線から直接取得する車両もありますのでハーネスの長さが非常に長く設定されています。今回のKIXのようにナビ裏から直接、車速信号線が取得できる車両の場合はハーネスが長すぎてナビを収納する際に非常に邪魔になりますので短縮化します。
車速信号コードを適切な長さで切断し裸圧着端子で加締めて熱収縮チューブで絶縁します。
配線の切断にはこのニッパーがオススメです。切れ味が抜群です。
両端のストリップはこの工具がオススメです。
使用する裸圧着端子はこちらです。
圧着不良を防ぐため圧着の際は専用工具の使用を徹底しましょう。
絶縁には熱収縮チューブを使用します。収縮はヒートガンを使用します。
完成した写真が以下です。ピンク色の線が非常に短くなっているのがわかります。
バッテリーコード 短縮化
バッテリーコード(黄色)も同様に短縮化します。
アクセサリーコードの不要分岐コネクターの除去
アクセサリーコード(赤色)に接続されていた不要な圧着式コネクターを除去します。圧着式コネクターは使用サイズを誤ると断線や接触不良に繋がるため、私は使用しません。
プライヤー等を使用して圧着式コネクターを開きます。
ハーネスから圧着式コネクターを取り外し、ニッパーを使用してハーネスを切断、ワイヤーストリッパーを使用して両端をストリップします。
裸圧着端子を使用して専用工具で加締めます。
熱収縮チューブを使用して絶縁処理すれば完成です。
アクセサリーコードの分岐処理
アクセサリー電源(ACC電源)を分岐します。分岐処理には絶縁被覆付き圧着端子と専用工具を使用します。
電源コードの完成形
イルミネーションコード(橙/白色)も同様に短縮化した状態が以下の写真です。作業前の状態と比較するとかなり配線の量が少なくなりました。
サイドブレーキコードをアースに接続する
サイドブレーキコード(若草色)を車両のアースに落として常にサイドブレーキを引いている状態にあるとナビに認識させて、走行中にTVが見れるようにします。
リバースコードの接続
リバースコード(紫/白色)を車両のバック信号線に分岐接続します。PA0(H59A)のバック信号は運転席側アクセルペダルの右横にあるコネクターより分岐します。コネクターを保護しているカバーを取り外すにはキッキングプレートを先に取り外す必要があります。先端サイズが2番のプラスドライバーを使用してキッキングプレートを固定しているボルト4本を緩めます。
マイナスドライバーを使用して保護カバーを固定している樹脂製のクリップを取り外し、保護カバーを取り外します。
対象のコネクターが出現します。
コネクターのロック部分を指で押すために車両に固定している樹脂クリップを取り外します。
コネクターのロック部分を押してコネクターを引き抜き、バック信号線(赤/青色)をニッパーで切断します。
ハーネスの両端をワイヤーストリッパーでストリップしてから絶縁被覆付き圧着端子を使用してリバースコードとバック信号線を共に加締めます。
反対側も加締めてバック信号線を分岐します。
復元すればバック信号線の取り出しは完了です。
ナビゲーションに取付金具を固定する
ナビゲーションの穴位置に取付金具の穴位置を合わせて付属のボルトで固定します。
なお、この車両の取付金具は2DIN用になりますのでナビゲーションのモニターと取付穴が干渉している状態になりますが、先端を丸く削ったマイナスドライバーを使えば車両に固定するボルトを締め付けることが出来ます。
地上デジタルアンテナの取付
取付説明書に従い、取付位置、向きを確認しながら地上デジタルアンテナを貼り付けます。貼り付け前にはパーツクリーナーを使用してフロントガラスを脱脂しましょう。
位置ずれしないようにマスキングテープで固定しながら貼り付けると綺麗に貼り付け出来ます。
取説の通りにセパレーターを剥がしていきます。
アンテナの上にアンテナコードを貼り付けて配線をヘッドライニング(天井)の中に収納すれば作業は完了です。
Aピラーの取り外し
Aピラー(フロントピラー)を取り外すには先にアシストグリップを取り外す必要があります。アシストグリップに設定されているボルトカバーを先端を丸く削ったマイナスドライバーを使い浮かせます。
先端サイズが2番のプラスドライバーを使用して固定ボルトを緩めます。
アシストグリップを取り外した後にAピラーを取り外します。
Aピラーの取り外しは上部に指を入れて手前に引っ張れば簡単に取り外せます。
ウォッシャーチューブに地デジアンテナコードをタイラップで固定します。
運転席側も同様に作業します。
GPSアンテナの取付
GPSアンテナはインスト上部に設置しました。配線はインストの内部を通してナビゲーションの裏側まで持っていきます。
集中アースの作成
インスト内のナビ裏からアースが取れない車両の場合は集中アースを製作するとアース接続が容易になります。助手席側の足元にあるカバーを取り外せば純正のアースポイントが出てきますので純正のアースポイントに丸端子を共締めしてアース線をインスト内ナビ裏まで延長します。
ナビ裏の配線整理
ナビゲーション本体を接続する前に車両側の配線を整理します。ナビ裏のスペースが少ない車両の場合はこの作業をしないとナビを車両に固定することができません。
この状態にするとナビゲーション本体が簡単に車両に固定できます。
ナビゲーション本体の固定
2DINタイプの車両に2DIN WIDEタイプのナビゲーションを固定するには取付ボルトとナビゲーション本体のモニター部分が干渉しますので先端を丸く削ったマイナスドライバーを使い横からボルトを固定します。
正面から見た干渉具合はこのような状態です。
左右ともにボルトでナビゲーションを固定します。
車両パネルの加工(2DIN→2DIN WIDE)
今回ナビゲーションを取り付けるKIX H59Aは2DINタイプの車両になりますのでナビゲーションが干渉する部分を物理的に切断して干渉しないように加工します。
加工時の傷を防止するために周囲をマスキングテープで養生します。
パネルの加工にはMakitaのマルチツールを使用して切断しました。時間がある方は徹底的に拘って加工しましょう。
車両パネルの取付
車両パネルの開口部からナビの内部が見えてしまいますのでスポンジ等を使用して目隠しします。
車両パネルを取り付けた状態が以下の写真です。これで2DINのスペースに2DIN WIDEのナビゲーションが取り付けできました。
最後に
いかがだったでしょうか。記事が非常に長くなってしまいましたが、この記事を見ながら作業することで迷わず安心して作業が出来ると思います。
ナビ取付は自動車整備(車いじり)の中でも基本的な作業ですが、突き詰めるとかなり奥が深いことが分かっていただけたかと思います。
オーナー自らが作業することで本来業者に払うべき工賃で必要な工具を全て揃えてもお釣りが出ますので、節約にも繋がります。自動車業界は闇が多く見えないところは徹底的に手を抜く業者も未だに世の中には存在しますので作業を外注せず愛車のカスタマイズをご自身でされてみてはいかがでしょうか。DIYでやるには一番オススメな作業です。
バックカメラの取付についてはこちらの記事をご覧ください。徹底解説しています。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。車いじりの参考になれば幸いです。コメントやお問合せもお待ちしております。コメントは記事の最下段にある【コメントを書き込む】までお願いします。また、YouTubeも公開しています。併せてご覧頂き、”チャンネル登録”、”高評価”もよろしくお願いいたします。YouTubeリンクはこちら
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