はじめに
自動車には内装、外装部品を問わず、数多くのゴム部品が採用されています。中でもタイロッドエンドブーツはゴムで出来ているにも関わらず、劣化すると本来の性能を維持できなくなり、重大な不具合に繋がる部品の代表例です。
タイロッドエンドブーツは経年劣化によって亀裂が入り内部からグリスが出てくると車検に適合しません。一方で、最近の車種は純正部品ではブーツ単品の設定がなく、タイロッドエンドASSYで購入・交換する必要があります。
そこで今回は、自動車整備業界では非常に有名な”大野ゴム”製のダストカバーブーツを使用して交換修理を行います。オーナー自身が交換することで整備工賃も部品費も節約できますので非常におすすめです。
なお、タイロッドエンドブーツの交換作業は締め付けトルク値は車種や構造によって変わりますが基本的な作業の流れはどの車種でも同じ方法となりますので日産 HE12 NOTEを用いて徹底解説します。
最後に、ブログよりも動画が良い!という方には同じ作業を動画でも公開していますので以下のリンクからご覧ください。
車両情報

・車種名称:NISSAN NOTE HE12 e-POWER
・型式:DAA-HE12
・原動機型式:HR12-EM57
・初度登録年月:平成29年(2017年)9月
・総排気量又は定格出力:1.19L
・燃料の種類:ガソリン
購入部品
タイロッドエンドブーツが破れて内部からグリスが漏れ出していた場合、車検に適合しなくなりますが、車種によってはこのような消耗部品であっても単品の設定がないケースが多いです。今回は整備業界では非常に有名な大野ゴム製の補給部品を使用して修理します。

また、タイロッドエンドを固定しているナットもナットの内側にナイロンが設定されており、このナイロンが緩み止めの役割を担っていますので、一度取り外した部品は再使用不可ですので新品を用意します。
使用工具一覧
今回使用した工具を紹介します。なお、詳細については作業紹介の中で順に解説します。

作業紹介
車両リフトアップ
前輪タイヤを取り外すために、車両をリフトアップします。

なお、車両をリフトアップして行う作業については安全上のリスクを伴いますので不安がある方は先にこの記事をご覧いただき作業を行いましょう。

ホイールナット・ホイール取り外し
ホイールを取り外すためにホイールナットを緩めます。なお、この車両のようにロックナットが使用されている車両の場合は、緩める際は一番最初に緩め、締め付ける際は一番最後に締め付けるようにしましょう。また、ロックナットを緩める際はインパクトレンチは使用せず手工具でゆっくりと緩めましょう。


ロックナットが緩めれましたら電動インパクトレンチを使用して残りの3本のホイールナットを緩めます。


ホイールナットを緩めれましたらタイヤを取り外します。


作業スペース確保
ステアリング(ハンドル)を動かして足回りを回転させ、作業スペースを確保します。


浸透潤滑剤塗布
固着したナットを緩める前に浸透潤滑剤を塗布して作業性を向上させます。使用した浸透潤滑剤はWAKO’Sのラスペネです。


自動車整備業界では非常に有名な浸透潤滑剤です。
固定ナット緩め
タイロッドエンドを固定しているロックナットを緩めます。この車両はナットの二面幅が14mmになりますのでTONEの超ロング首振ラチェットめがねレンチを使用して緩めます。なお、緩める際は周り止めとしてT30のトルクスソケットを使用します。


ナットが緩めれましたら全て緩めて取り外さずに、写真の位置位まで緩めます。


タイロッドエンド取り外し
今回の作業の中で一番の難所がこの作業になります。タイロッドエンドを取り外す専用工具ももちろんありますが、大抵の車両はナックルの以下の写真の位置をハンマーで叩くと比較的簡単に取り外すことが出来ます。


タイロッドエンドブーツ取り外し
タイロッドエンドをナックルから取り外す前にタイロッドエンドブーツの加締め部にマイナスドライバーを当ててハンマーで叩き、加締め部を少し浮かせておきます。


タイロッドエンド取り外し
ナットを完全に取り外しタイロッドエンドをナックルから取り外します。


取り外した状態が以下の写真です。


タイロッドエンドブーツ取り外し
少し浮かせた加締め部にマイナスドライバーを差し込み回転させながらタイロッドエンドブーツを取り外します。


タイロッドエンドグリス除去
ショップタオル等の毛羽立ちにくい材質のウエス等を使用して古いグリスを除去します。


タイロッドエンドグリス塗布
ボールジョイント部に新しいグリスを塗布します。使用するグリスはリチウム系グリスやボールジョイント専用グリスが推奨です。


タイロッドエンドブーツ寸法情報
この情報が一次情報としては有料級の情報かと思います。今回取り付ける大野ゴム製のタイロッドエンドブーツDC-1536の加締め部の内径は31.36mmです。


取り外した日産純正のタイロッドエンドブーツの内径は32.05mmです。


車両のタイロッドエンドの外径は32.08mmです。


タイロッドエンドブーツ圧入
タイロッドエンドブーツ交換作業の中でこの作業が2番目の難関になります。圧入する方法は多々ありますが、今回は油圧ジャッキを用いて大きめのソケットで圧入する方法を紹介します。油圧ジャッキをタイロッドエンドの真下にセットしてハンマーで叩き込めるように支えます。


今回使用した大野ゴム製のDC-1536はKTC製のB4-32Wがちょうど良いサイズでゴムに傷を付けずに圧入ができます。


ブーツに傷がつかないサイズのソケットを選定しましょう。


タイロッドエンドに新しいブーツをセットします。ボールジョイントのネジ部にソケットが当たらないようにセットしましょう。


ネジ部にハンマーが干渉しないようにしてハンマーでブーツを圧入します。


均等に圧入されているかしっかりと確認しましょう。


ロックナット新旧比較
取り外したロックナットを新しいナットに交換します。


ロックナットのナイロン部分を拡大した写真が以下の写真です。ナイロン部分にネジ山が食い込み緩み止めの効果を発揮します。


タイロッドエンド固定
新しいナットをタイロッドにセットして固定します。トルクス部分が供回りし始めるまでナットを工具で締めます。


T30のトルクスソケットを使用してピボットが回るのを止めながらナットを締め付けます。


HE12のタイロッドエンドの締め付けトルク値は34.4N・mですのでトルクレンチを使用して締め付けます。普通のソケットでは周り止めができませんので今回はクローフットレンチを使用して締め付けました。


なお、クローフットレンチを使用する場合は通常のソケットレンチよりも腕の長さが長くなりますのでその分、設定トルクを下げて締め付けを行いましょう。
ちなみにGEK085とNBNS3-14を組み合わせた場合の設定トルクは34.4✖️0.83🟰28.5N・mとなります。締め付けが完了した状態が以下の写真です。


ホイールの取付
交換作業が完了しましたらホイールを取り付けます。取付前にローターのホイールと接触する部分の清掃(錆び取り)を実施して組み付けます。ホイールナットをトルクレンチで規定トルク値に締め付けると全ての作業は完了です。


最後に


いかがだったでしょうか。ゴムのブーツを交換するだけにも関わらずこんなにも手間が掛かります。プロにお願いすると工賃だけで国産車で約1〜2万円、輸入車で2〜3万円も掛かります。
たかがゴム製品ですが劣化すると車検不適合になりますので対処が必須です。このブログを参考にご自身で作業されてみてはいかがでしょうか。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。車いじりの参考になれば幸いです。コメントやお問合せもお待ちしております。コメントは記事の最下段にある【コメントを書き込む】までお願いします。また、YouTubeも公開しています。併せてご覧頂き、”チャンネル登録”、”高評価”もよろしくお願いいたします。YouTubeリンクはこちら














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