はじめに
インターネットの普及により有益な情報が一昔前よりは簡単に入手できるようになりました。しかしながら、欲しい情報の核心的な部分は公開されておらず、肝心な部分が分からない事もよくあります。
国産車は日本自動車整備振興会連合会が会員向けに提供しているFAINES(ファイネス)やオーナー自らが正規ディーラーで購入や問い合わせすることで、整備要領書が確認出来ますが、一般ユーザーにとっては馴染みが無く、読み取り方法も独特で理解しづらいと思います。
そこで今回は、トヨタ ハイエース(TOYOTA HIACE) LDF-KDH201Vのエンジンオイル漏れ修理 オイルスイッチングバルブ交換について徹底解説します。
作業において必要な部品、部材、工具の選定やカンコツについても実際の作業写真を交えて解説します。
ハイエースは販売台数が非常に多く事業で使われている方はもちろんのこと、キャンピングカーの種車等でも広く愛用されています。
エンジンオイル交換などの作業を行う際に、オーナー自らが愛車を点検する事で【重大な不具合】に陥るリスクを未然に防ぐことが出来ます。
ハイエースのエンジンオイル漏れに気付いた方はこの記事をご覧いただき、ご自身の愛車にも同様の事象が起きていないかを確認し、同じ不具合である可能性が高い場合はエンジンオイル漏れ修理に挑戦してみることをお勧めします。この記事により救われる方が一人でも増えれば幸いです。
車両情報
・車名:トヨタ
・型式:LDF-KDH201V
・原動機の型式:1KD
・総排気量又は定格出力:2.98L
・初度登録年月:2011年(平成23年)10月
今回の不具合はオイルスイッチングバルブからのオイル漏れ
今回の不具合はエンジンオイル交換の際にエンジンからエンジンオイルが漏れていることに気づきました。漏れたエンジンオイルは広範囲に飛び散っていました。
エンジンオイル漏れの原因を調べたところ今回のオイル漏れの主因と想定される部品が見つかりました。部位は車両後方に向かってクランクプーリーの左隣に配置されている【オイルスイッチングバルブ】です。下の写真の赤丸の部品です。
なお、クランクプーリーのオイルシールからもエンジンオイルは漏れることがありますので不具合の切り分けがとても重要です。目視での点検ではエンジンに直接組み付けられている【オイルスイッチングバルブ】からエンジンオイルが漏れているようでしたので、新品のオイルスイッチングバルブを準備し交換していきます。
購入部品
部品仕様は以下の通りです。
・部品名称:VALVE ASSY,OIL SWITCHING
・数量:1個/台
なお、今回交換する部品はわざわざディーラーへ出向く必要なく、以下のAmazonリンクから直接購入出来ます。
是非ともご活用くださいませ。
またこのオイルスイッチングバルブをエンジンからエンジンオイルを抜かずに取り外すとドバドバとエンジンオイルが溢れ出て来ますので、エンジンオイルの交換作業と同時に作業されることをお勧めします。
トヨタ ハイエースのエンジンオイル交換については以下の記事で徹底解説しておりますので、この記事と併せてご覧いただけますとより理解が深まります。
部品詳細
VALVE ASSY,OIL SWITCHINGの購入時の梱包状態は以下の通りです。
参考までにVALVE ASSY,OIL SWITCHINGの外観写真を紹介します。
裏面の写真です。
エンジンに挿入されている側の写真です。
エンジンに取り付けた後に見える状態が以下の写真です。
エンジンに挿入される部分にO-ringが使用されています。
参考までにVALVE ASSY,OIL SWITCHINGの溝部分の寸法は11.11mmです。
O-ringの幅寸法は取り付け状態で1.78mmです。
O-ringを含めた外径の寸法は14.51mmです。よって概算ですが、使用されているO-ringの寸法は内径が11mm、幅が2.0mmのO-ringと思われます。
作業紹介
エンジンオイルの排出
車両をリフトアップし、ドレンプラグを緩めてエンジンオイルを排出します。
ジャッキアップして作業される方には安全にジャッキアップするための徹底解説記事も公開しています。併せてご覧ください。
エンジンオイルを排出する際は【排出量】も併せて把握しておきましょう。
オイルスイッチングバルブ コネクターの取り外し
エンジンの下側から腕を伸ばしてオイルスイッチングバルブの下部にあるコネクターのロックを親指で押しながら手前(車両前方方向)に引き抜きコネクターをオイルスイッチングバルブより取り外します。
購入した新品部品を参考にしながらコネクターの突起部分の位置を確認するとスムーズに取り外せます。
オイルスイッチングバルブ 固定ボルトの取り外し
オイルスイッチングバルブをエンジンに固定している取付ボルト1本を緩めて取り外します。
取り外しには二面幅10mmのソケットレンチと75mmのエクステンションバー、6.35mmのラチェットレンチを使用しました。
取り外した取付ボルトにもベットリとエンジンオイルが掛かっていました。
オイルスイッチングバルブの取り外し
取付ボルトが外せましたら、いよいよオイルスイッチングバルブをエンジンから取り外します。オイルスイッチングバルブをエンジンに対して手前に水平に引き抜きます。O-ringが固着していると多少抜きにくいと思います。
オイルスイッチングバルブが取り外せました。
オイルスイッチングバルブをエンジンから取り外すと取付部分からエンジンオイルがさらに出てきますのでオイル受け等でエンジンオイルを受けましょう。
オイルスイッチングバルブの新旧比較
オイルスイッチングバルブを新旧比較した写真は以下の通りです。取り外したオイルスイッチングバルブはエンジンオイルで非常に汚れていました。
オイルスイッチングバルブ取付面の清掃
オイルスイッチングバルブの取付面を清掃し新しいオイルスイッチングバルブを取り付けます。
新しいオイルスイッチングバルブ取り付け
取り外しと逆の手順で車両に組み付けます。オイルスイッチングバルブに設定されているOリング部分がエンジン内部にしっかりと入るまで指で押し込みます。
取り付けボルトで固定します。
コネクター内部にもエンジンオイルが大量に入り込んでいましたので取り付け前にウエス等で清掃します。
オイルスイッチングバルブにコネクターを結線すると交換作業自体は完了です。
各部徹底清掃
他の部位からエンジンオイルが漏れた際にすぐに気付けるようにするためにも、エンジンオイルの汚れを徹底的に清掃します。
清掃にはパーツクリーナーやウエス、毛羽立ちの少ないショップタオル等がおすすめです。
清掃が完了しましたらエンジンオイルを注入すれば作業は完了です。
使用工具紹介
今回使用した工具は以下の通りです。エンジンオイルを交換する際に使用する工具+オイルスイッチングバルブ取り外しに必要な工具です。なお、エンジンオイル交換の際に緩めたドレンボルトの締め付けにはトルクレンチの使用をお勧めします。
参考になれば幸いです。
最後に
いかがだったでしょうか。エンジンオイル漏れのような不具合は何よりも早期発見、早期着手(修理)がとても重要です。エンジンオイル漏れに気付かずそのまま走り続けた場合、最悪の場合はエンジンが冷却できずにエンジンブローする恐れがあります。普段の日常点検がいかに重要か少しでも伝われば何よりです。
ハイエースのエンジンオイル漏れ修理以外にも様々な記事を公開しています。ぜひ併せてご覧ください。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。車いじりの参考になれば幸いです。コメントやお問合せもお待ちしております。コメントは記事の最下段にある【コメントを書き込む】までお願いします。また、YouTubeも公開しています。併せてご覧頂き、”チャンネル登録”、”高評価”もよろしくお願いいたします。YouTubeリンクはこちら
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