はじめに
トヨタ アルファード(30系後期・3BA-AGH30W)に、ALPINE(アルパイン)製のBIG X 11型「EX11NX2-AV-30DA-UP」を取り付けるシリーズの第三弾です。今回は車両連携ユニット用メインハーネスの配線の取り方について、実際の作業写真を使って徹底解説します。
このナビは、市販カーナビとして初めてドアの開閉操作やフロント&リヤエアコンの操作といった車両機能のコントロールが可能になったモデルです。その分、車両側の信号線との接続箇所が非常に多く、グローブボックス奥のECU、カウルサイドトリムLH部のコネクターブロック、エアコン・スイッチ部と、車両のあちこちに配線を取り回して結線する必要があります。そのため、取り付け作業を行う方にとって最も不安になるポイントではないでしょうか。
さらに今回は、付属のエレクトロタップを使用しない“より安定性の高い接続方法”で結線しています。取付説明書どおりにエレクトロタップで接続すれば作業時間は短く済みますが、車両側の信号線は非常に細く、長期間の振動や経年劣化によって接触不良を起こすリスクがあります。ドアやエアコンを操作する重要な信号線だからこそ、確実な接続方法を選択しました。この接続方法を実際の写真付きでステップごとに解説した記事は他にはないと思いますので、DIYで取り付ける方はぜひ参考にしてください。
ディーラーやカー用品店にナビの取り付けを依頼すると、車両連携ユニットの配線だけでも工賃は決して安くありません。自分で部品と工具を購入してDIYで作業するのがおすすめです。使用した工具についても作業紹介の中で順に紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
第一弾の内装部品の取り外し、第二弾の机上仮組みについては以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
車両情報


| 仕様 | 詳細 |
|---|---|
| 車種名称 | TOYOTA ALPHARD(アルファード) |
| 型式 | 3BA-AGH30W |
| 原動機の型式 | 2AR |
| 総排気量 | 2.49L |
| 型式指定番号 | 19553 |
| 類別区分番号 | 0223 |
| 初度登録年月 | 令和3年(2021年)3月4日 |
| オーディオ仕様 | 純正ディスプレイオーディオ装着車 |
| 装備 | 両側パワースライドドア・パワーバックドア・リアルーフ |
| 作業日 | 2026年7月30日〜7月31日 |
今回の車両は令和3年(2021年)登録のため、取付説明書の年式区分では「H30(2018年)/1〜の場合」の接続位置が該当します。カウルサイドトリムLH部の接続位置は年式によって異なりますので、ご自身の車両の年式を必ず確認してから作業しましょう。
なぜ付属のエレクトロタップを使用しないのか
エレクトロタップは、車両側のコードを挟み込んでプライヤーで圧着するだけで信号線が取得できる便利な部品です。配線を切ったり被覆を剥いたりする必要がないため、取付説明書でもこの方法で接続するように案内されています。
しかしながら、エレクトロタップは金属の隙間に被覆を挟むことでせん断力で被覆を剥き、芯線と接触させる構造のため、エレクトロタップの使用可能な配線サイズと接続する配線のサイズが一致していないと断線や接触不良のリスクが高まります。また、接点がむき出しに近い状態のため、長期間の振動や湿気による酸化で接触不良を起こすリスクもあります。
エレクトロタップの最大のリスクは”接触不良”であり、その原因のほとんどは配線サイズを考慮せずにエレクトロタップを使用したことに起因します。よって今回準備したナビは車種専用設計のため取り付ける部位に合わせた配線サイズが考慮されていますのでそのリスクは他の製品よりも少なくなっておりますが、より確実な圧着端子を使用した方法で今回は接続します。
今回接続する信号線は、パワースライドドア・パワーバックドア・リヤサンルーフといった車両の重要な機能に関わるものです。後から接触不良が起きると、ナビから操作できないだけでなく、純正スイッチでの操作にまで影響する可能性があります。
取付説明書に記載されている接続方法はエレクトロタップによる接続です。本記事の接続方法は整備士としての経験に基づくものであり、メーカーが推奨する方法ではありません。作業に自信がない方は取付説明書どおりにエレクトロタップで接続し、必ずテスターで導通確認を行ってください。
購入部品
今回購入した製品は以下の商品です。
エレクトロタップの代わりに使用した接続部材は以下の通りです。
| 部品名 | メーカー・品番 | 数量 | 価格 |
|---|---|---|---|
| 銅線用裸圧着スリーブ | 二チフ・B1.25 | 100pcs. | 1,312円 |
| 熱収縮チューブ | 黒色・3φ | – | – |
| タイラップ | HellermannTyton AB100-W | 100本 | 156円 |
| ハーネステープ | VINI-TAPE | 10個 | 2,430円 |
工具紹介
今回の作業で使用した工具はこれらの工具です。詳細については作業紹介の中で順に紹介します。


作業紹介 〜車両連携ユニット用メインハーネスの配線〜
作業前の車両ハーネス状態と取付位置の確認
まずは作業に入る前に、結線する車両側のコネクターの位置を確認します。グローブボックスを取り外した奥にあるECUのコネクター(G63:30P、G62:28P)の状態は以下の通りです。
なお、取付説明書のP12にはECU部の接続位置が記載されています。「配線側から見た図」として描かれていますので、コネクターの向きを間違えないように注意しましょう。パワースライドドア側(コード:茶白、紫、白、黒)とバックドア側(コード:緑)の計5本をこのECUのコネクターに接続します。


続いて、助手席側のカウルサイドトリムLH部のコネクターブロックの状態は以下の通りです。リアルーフ側とパワーバックドア側はこちらのコネクターに接続します。
リアルーフ側の接続位置は取付説明書のP13に記載されています。H30/1〜の車両はGK2:20Pコネクターの4番(コード:白)と5番(コード:茶)が接続位置です。年式によって接続するコネクター自体が異なるため、必ず自分の車両の年式に該当する図を確認しましょう。
パワーバックドア側の接続位置は取付説明書のP14に記載されています。H30/1〜の車両はGK1:60Pコネクターの11番が接続位置です。こちらは他の接続箇所と異なり、車両コードを切断して両端にメインハーネスのコード(緑、桃)を接続する方式ですので注意が必要です。


バッテリーのマイナス端子取り外し
配線作業の前には必ずバッテリーのマイナス端子を取り外します。信号線に触れる作業ですので、ショートによるECUの故障を防ぐためにも省略してはいけません。作業前のバッテリーの状態は以下の通りです。


マイナス端子の固定ナット(二面幅10mm)をコンビネーションレンチで緩めます。端子のナットは完全に取り外す必要はなく、端子が抜ける程度まで緩めれば十分です。


取り外したマイナス端子は、バッテリーのターミナルに接触しないようにウエス等で包んでおきます。マイナス端子を取り外した後の状態は以下の通りです。


オーディオ取付部でのハーネスA,B,Cの接続と配策
取付説明書 P5に記載されているハーネスA、ハーネスB、ハーネスCをそれぞれ車両側のコネクターと接続します。
ハーネスAは以下の写真のように車両側の28Pコネクター(灰)と車両側の10Pコネクター(黒)に接続します。


ハーネスBは以下の写真のように車両側の30Pコネクター(白)に接続します。


ハーネスCは以下の写真のように車両側の28Pコネクター(白)に接続します。


接続が出来ましたら反対側の純正ディスプレイオーディオ本体背面に接続する側のコネクターは以下の写真のようにグローブボックス側へ配策します。(取付説明書ではセンターロアパネルから取り出すよう指示されていますが今回はグローブボックス側へ配策しました。)


メインハーネスの配策
メインハーネスのパワースライドドア側、バックドア側、リアルーフ側、パワーバックドア側の各コードをオーディオ取付部からグローブボックス部に配線し、メインハーネスの白テープ部を、車両ハーネスの取付説明書記載の位置にタイラップでしっかりと固定します。


グローブボックス部の車両リーンホース(インパネ内部の鉄製の骨格)に沿わせて、グローブボックス左側に配策しタイラップで固定します。エアコンユニットの可動部やブロアファンに干渉しない位置を通すのがポイントです。


配策したメインハーネスは、走行中の振動でハーネスが擦れて異音が発生しないようにたるみがないように固定します。車両リーンホースに固定した後の状態は以下の通りです。


各車両側の信号線との接続_ECUコネクター(G63:30P、G62:28P)
グローブボックス奥のECUに配策したメインハーネスの状態は以下の通りです。接続するのはECUに刺さっているG63:30P(上)とG62:28P(下)の2つのコネクターです。


ECUからG63・G62コネクターのロックを解除して取り外し、手元まで引き出します。


狭いECUの奥で結線作業をするのは困難なため、コネクターを取り外して作業しやすい位置で作業するのが確実です。なお、メインハーネスに付いている赤色のエレクトロタップは今回は使用しないため、ニッパーで切断して取り外しておきます。


【プロの技①】エレクトロタップを使わない結線方法
ここからが今回の記事の一番のポイントです。
ECU G63 30Pコネクター内、3番端子(配線色:水色)にパワースライドドア(コード:茶白)、16番端子(配線色:赤)にパワースライドドア(コード:紫)を分岐させます。


分岐の方法は車両側の配線をニッパーで切断し、ワイヤーストリッパーを使用して両サイドの被覆をストリップし圧着端子を使用して配線を分岐します。
圧着端子部分はそのままにせず、熱収縮チューブを使用して絶縁処理を実施しましょう。この時、周囲の車両ハーネスや内装部品を熱から守るためにダンボールを敷いて作業しています。


ハーネステープを使用してハーネスを束ねます。


続いて、ECU G62 28Pコネクター内、5番端子(配線色:緑)にバックドア(コード:緑)、25番端子(配線色:オレンジ)にパワースライドドア(コード:白)、26番端子(配線色:青)にパワースライドドア(コード:黒)を分岐させます。






ECUコネクターからの配線の分岐が完了しましたら、テスターでメインハーネス側のコネクターと車両側コネクターのピンの導通を確認します。また、接続したハーネスをハーネステープで巻いて保護します。ECUに戻す前のコネクターの状態は以下の通りです。


G63・G62コネクターを「カチッ」と音がするまでECUに確実に差し込み、ロックします。ECUにコネクターを戻した後の状態は以下の通りです。


今回の結線で剥いた被覆は以下の通りです。ストリップした被覆の数を数えておくと、結線漏れがないかの確認にもなります。


各車両側の信号線との接続_カウルサイドトリムLH部コネクターブロック
続いて、助手席側のカウルサイドトリムLH部のコネクターブロック部に結線します。フロントサイドステップを取り外し、


コネクターへアクセスしていきます。


サイドキックパネル部のコネクターブロックまでメインハーネスを配線した状態は以下の通りです。H30/1〜の車両は、リアルーフ側がGK2:20P、パワーバックドア側がGK1:60Pに接続します。
コネクターブロック GK2 20Pコネクター内、5番端子(配線色:茶色)にリアルーフ(コード:茶)、4番端子(配線色:白)にリアルーフ(コード:白)を分岐させます。


4番端子(配線色:白)にリアルーフ(コード:白)を分岐


5番端子(配線色:茶色)にリアルーフ(コード:茶)


【プロの技②】コネクターは車両から取り外して手元で作業する
続いて、GK1:60Pコネクターの11番を確認します。コネクター端面のピン番号と取付説明書の「配線側から見た図」を照らし合わせ、接続するコードに間違いがないかを確認します。


コネクターブロック GK1 60Pコネクター内、11番端子(配線色:緑)にパワーバックドア(コード:緑)とパワーバックドア(配線色:桃)を分岐させます。コネクター側がパワーバックドア(コード:緑)で、車両側がパワーバックドア(配線色:桃)です。


※パワーバックドア側は、車両コードを切断して間にメインハーネスを割り込ませる接続方法です。


パワーバックドア側はコードを切断して割り込ませるため、緑と桃を逆に接続するとパワーバックドアが正常に作動しなくなる可能性があります。切断前にどちらがコネクター側かを必ず確認し、マスキングテープ等で印を付けてから切断しましょう。
結線部分をハーネステープで巻いて保護し、コネクターを嵌合させます。


GK1・GK2コネクターをコネクターブロックに確実に差し込み、メインハーネスを車両ハーネスにタイラップで固定します。結線が完了した後の状態は以下の通りです。


カウルサイドトリムLH部コネクターブロック部の結線で剥いた被覆は以下の通りです。先ほどと同様にストリップした被覆の数を数えておくと、結線漏れがないかの確認にもなります。


その他のコネクターを車両側コネクターに接続
メインハーネスのフロントエアコンスイッチコネクター(白8P)をフロントエアコン部に配線し、


車両フロントエアコンスイッチの8Pコネクター(黒8P)に接続します。


メインハーネスのコンビネーションスイッチコネクターをスイッチパネル部に配線し


車両コンビネーションスイッチの14Pコネクターに接続します。


車両連携ユニットの取り付け
メインハーネスの車両連携ユニットのコネクター(白27P、白30P)をセンターコンソール部奥に配線します。


この部分にコネクターを通してハーネスを配策します。


付属のマジックテープ(100mm×100mm)の剥離紙を剥がし、車両連携ユニットのシリアルナンバーが貼っていない面に貼り付けます。マジックテープを貼り付けた後の状態は以下の通りです。


シリアルナンバーが貼ってある面は以下の通りです。保証や問い合わせの際に必要になりますので、取り付け前にシリアルナンバーを控えておきましょう。


メインハーネスの車両連携ユニットコネクター(27P、30P)を車両連携ユニットに接続し、センターコンソール奥の車両フロアに設置します。車両フロアの鉄板部は高温になるため、車両連携ユニットやハーネスが高温部に当たらないように注意してください。


車両連携ユニットを取り付けた後の状態は以下の通りです。


まとめ
いかがだったでしょうか。今回のポイントを改めて以下にまとめます。
- EX11NX2-AV-30DA-UPは市販カーナビ初の車両機能コントロールが可能なモデル。その分、ECU・カウルサイドトリムLH部・エアコン部など車両側の信号線との接続箇所が非常に多い
- 作業前に取付説明書の「配線側から見た図」と実車のコネクターを照らし合わせ、接続位置を確認する。サイドキックパネル部は年式(〜H30/1、H30/1〜)で接続するコネクターが異なる
- 付属のエレクトロタップは芯線の切れ込み・振動や酸化による接触不良のリスクがある。今回は裸圧着端子+熱収縮チューブによる絶縁で確実に接続(プロの技①)
- コネクターは車両から取り外して手元に引き出し、ダンボールを敷いた上で作業する。明るく広い場所で確実に結線でき、ヒートガンの熱から周囲の部品も守れる(プロの技②)
- パワーバックドア側は車両コードを切断して割り込ませる方式。緑(コネクター側)と桃を逆に接続しないように注意
- 結線後はテスターで導通確認を行い、ハーネスはタイラップで車両ハーネスに固定。車両連携ユニットは高温になる車両フロアの鉄板部に当たらないように設置する
ディーラーやカー用品店に依頼すると高額になる車両連携ユニットの配線作業も、手順を一つずつ確認しながら進めればDIYで十分に作業可能です。部品と工具を揃えて、ぜひチャレンジしてみてください。
第一弾の内装部品の取り外し、第二弾の机上仮組みについては以下の記事をご覧ください。
アルファード30系のオーナーはもちろん、これからナビの取り付けにチャレンジする方の参考になれば幸いです。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。車いじりの参考になれば幸いです。コメントやお問合せもお待ちしております。コメントは記事の最下段にある【コメントを書き込む】までお願いします。また、YouTubeも公開しています。併せてご覧頂き、”チャンネル登録”、”高評価”もよろしくお願いいたします。YouTubeリンクはこちら

















コメント