はじめに
インターネットの普及により有益な情報が一昔前よりは簡単に入手できるようになりました。しかしながら、欲しい情報の核心的な部分は公開されておらず、肝心な部分が分からない事もよくあります。
国産車は日本自動車整備振興会連合会が会員向けに提供しているFAINES(ファイネス)やオーナー自らが正規ディーラーで購入や問い合わせすることで、整備要領書が確認出来ますが、一般ユーザーにとっては馴染みが無く、読み取り方法も独特で理解しづらいと思います。
そこで今回は、ドライブレコーダー取付について日産 フェアレディZ NISMO Z34を用いて徹底的に解説します。
”ドラレコの取付なんてシガーライターから電源を取るだけでしょ?”なんて安易に考えている方に向けても社外部品の後付け感を感じさせないこだわりの取付方法について実際の作業写真を交えて解説します。
同じ車種をお乗りのオーナーはもちろん、これからドライブレコーダーを取付ようと検討されているオーナーにとっても有料級の情報になると思います。ドライブレコーダー取付工賃の相場は前後タイプで約2万5千円です。自分で取り付けると工賃はもちろん無料です。この記事をご覧になりご自身でドライブレコーダーの取付に挑戦される方が一人でも増えれば幸いです。
車両情報
・車名:ニッサン
・型式:CBA-Z34
・原動機の型式:VQ37
・総排気量又は定格出力:3.69L
・初度登録年月:2017年(平成29年)2月
・NISMO仕様
購入部品
数ある商品の中で今回はスタンドアローン型で、前後撮影対応の2カメラドライブレコーダー
【KENWOOD DRV-MR760】を選びました。
撮影画質は”フルハイビジョン (1920×1080)”であり前後ともF1.8の明るいレンズを採用しており夜間やトンネル内、夕暮れ時などの暗いシーンでも明るく撮影でき、決定的なシーンの撮り逃しがありません。
Amazon等のECサイトから購入すれば、小売店の中間マージンが無い分だけ店舗で買うよりもかなり安く購入できます。取付工賃だけでなく商品代も節約出来ます。
また同梱されているシガーライターの電源コードを車両にスマートに接続するために、エーモン 電源ソケットも一緒に準備します。
開梱した状態が以下の写真です。全ての部品が個別梱包されており品質は申し分ありません。さすが日本メーカーの商品です。
作業紹介
通電確認
ドライブレコーダーを実際に車両に取り付ける前に、机上で仮接続を行い通電確認をします。確率は低いですが初期不良の早期発見や配線の接続イメージを掴むためにも非常に有効です。
フロントピラーガーニッシュ(通称:Aピラー)取り外し
ドライブレコーダー本体をフロントガラス上部に固定した際に電源ケーブルやリアカメラとの接続ケーブルを綺麗に配策するためにはAピラーの取り外しが必要です。
Aピラー周辺のウェザーストリップを取り外します。
取り外しは指でウェザーストリップを掴み、下方向に引っ張れば簡単に外せます。
ウェザーストリップが外せましたらAピラーの上部を指でつかみ、手前側に引っ張るとAピラーが外せます。カーテンエアバッグ付車両の場合、Aピラーの中央部にはエアバック展開時のAピラー飛散防止クリップがありますのでクリップを90°ねじって取り外します。
取り外しが上手くいかない場合は切断して新品クリップと交換しましょう。Amazonから直接購入できます。
Aピラーを取り外した後の写真が以下です。ちなみにピンク色の部品がカーテンエアバッグです。
電源ケーブル配策(助手席下→Aピラー内経由→フロントガラス上部)
インスト下部からAピラーへ配線を通すには市販の配線通し等を使用すると簡単にできます。
ちなみに私はいつも”自在ワイヤー”を使用して配線を通しています。
自在ワイヤーの先端にはマスキングテープを巻き、他のハーネス等への傷付きを防止しています。今回の作業は電源ケーブルを助手席下からAピラーを経由してフロントガラス上部まで通しますので、インスト上部から自在ワイヤーを通して助手席下から電源ケーブルを引き上げます。
バックドアフィニッシャー取り外し
リアカメラの接続ケーブルを配策するにはバックドアフィニッシャーの取り外しが必要です。
また、バックドアの内側のガラス上部にリアカメラを取り付けるには車体とバックドア間にある蛇腹に配線を通す必要があります。この蛇腹を通さずにリアカメラを取り付けると接続ケーブルがバックドアを開けるたびに見え、ケーブルを車体とバックドアの間に挟み込んでしまう恐れもあります。
バックドアフィニッシャーアッパーを取り外します。取り外しはバックドアフィニッシャーアッパーとバックドアパネルの間に指を入れて手前に勢いよく引っ張るだけで外せます。
バックドアフィニッシャーロアの取り外しはバックドアフィニッシャーフック内にあるボルトを取り外す必要があります。フックの樹脂爪を外すには樹脂製のヘラやマイナスドライバーの先端にテープ等を巻いたものを使用して傷を付けないように取り外します。
フックの樹脂爪を取り外すと内側に二面幅10mmのボルトが隠れています。ソケットレンチ等を使用してボルトを取り外します。
バックドアフィニッシャーロア、サイドの順に取り外していくと以下のように全てのバックドアフィニッシャーが外せます。
取り外したバックドアフィニッシャーサイド、ロアのクリップ位置は以下の写真の通りです。
リアカメラ接続ケーブル配策(ロックピラーフィニッシャー→バックドア)
自在ワイヤーにリアカメラ接続ケーブルのコネクター先端をマスキングテープを使って固定します。
ロックピラーフィニッシャー上部に接続ケーブルを通すにはロックピラーフィニッシャーの上に固定されているシートベルト固定用のアンカーボルトを取り外して、ロックピラーフィニッシャーを浮かす必要があります。シートベルト固定用のアンカーボルトはショルダーアンカーカバーを取り外した後に二面幅が17mmのソケットレンチ等を使い緩めます。取り付ける際の締め付けトルク値は49.0N・mです。トルクレンチを使用してトルク管理します。
ロックピラーフィニッシャー周辺のウェザーストリップを指で取り外した後に、ロックピラーフィニッシャー上部を指で車両内側に引っ張ると固定クリップが外せて配線を通す隙間が生まれます。その隙間から自在ワイヤーを使いボディの穴(蛇腹の下側の穴)まで配線を通します。
自在ワイヤーを通した後の写真が以下です。自在ワイヤーを通す前に蛇腹の上下をバックドアとボディから取り外しておきましょう。
リアカメラ接続ケーブル配策(バックドア周辺)
ボディサイドからリアまで接続ケーブルが通せましたら次はバックドアの下からバックドアの上まで同様に自在ワイヤーを通してケーブルを通す準備をしておきます。
バックドアの上側の穴(蛇腹の上側の穴)から自在ワイヤーを出します。
次が今回の作業における最大の山場になります。車両の純正ハーネスに傷が付かないように長めのタイラップを蛇腹内に通します。
タイラップを蛇腹内に通せましたら、タイラップにリアカメラ接続ケーブルのコネクター先端をマスキングテープを使って固定し蛇腹内を通します。蛇腹内を通す際はシリコンスプレーを使用すると摩擦抵抗が下がりさらに通しやすくなります。
焦らずに少しずつタイラップを引きながら蛇腹を動かして通していきます。この時点でタイラップから接続ケーブルが抜けてしまうと再度、タイラップの挿入からやり直しになりますので慎重に作業します。
タイラップと接続ケーブルの固定はある程度引っ張っても抜けないようにマスキングテープで固定します。
事前に通しておいた自在ワイヤーを使い、バックドアの上側から下側に向けて接続ケーブルを通します。少し余裕を持たせた状態でバックドアの内側に沿わせて配策します。
接続ケーブルを通すルートを決めてバックドアガラスの中央上部まで配策します。
取り付け位置を確認するためにリアカメラをマスキングテープを使用して仮固定します。
接続ケーブルの位置が決まりましたらリアカメラ側から配線を固定していきます。蛇腹も元の状態に復元します。
バックドアの配線経路は下記の写真の赤線のルートにしました。リアカメラを多少前後左右に動かせるように若干の余裕をみて配策します。
ACC(アクセサリー)電源の取り出し
今回は助手席下に純正で設定されているシガーライターの配線を分岐して接続します。
電源ケーブルの接続はドライブレコーダーに付属しているシガーライターをそのまま車両で使用すると常に配線が見える状態になってしまい見栄えが悪いため、インストの内部に新たにシガーライターを増設し接続します。
ドライブレコーダーの電源供給はエンジンオフの状態で0V(電気が流れない)、エンジンオンの状態で12V(電気が流れる)を示す配線から取ります。ACC電源が一般的です。エーモンの後付けシガーライターを接続する前にテスターを使い、エンジンオフで0Vを示しているか確認してから接続しましょう。
Z34の助手席下のシガーライターは左右の2本のプラスネジを緩めると取り外せます。
純正のシガーライターからコネクターを外します。コネクターはロック部を押しながら引き抜けば外せます。今回のZ34 NISMOでは黄色の配線が+12V、黒の配線が0V(ボディーアース)です。
またこのZ34は、シガーライターの配線から既に後付けウーファー用の信号線が取られていましたので、信号線と今回新たに追加するシガーライターの配線を一緒に純正のハーネスから分岐します。
エーモンの電源ソケットの配線は非常に長く車内に収納するにも邪魔になりますので短くし、絶縁被覆付圧着スリーブB-1.25で接続しました。ミニ平型ヒューズ(写真内の青色)とアース線のワニ口端子はカットして車両側のハーネスと結線します。
ハーネスの本数が2本のボディアース側は『2』、ハーネスの本数が3本の+12V側は『5.5』の裸圧着端子を使い分岐しました。絶縁には熱収縮チューブを使用します。
Aピラー内の電源ケーブル固定
Aピラー内の純正ハーネスに電源ケーブル、リアカメラ接続ケーブルをタイラップで固定します。リアカメラ接続ケーブルの配線はとても長く、余分な部分を収納する必要がありますので、今回は一度、助手席下まで接続ケーブルを通した後に助手席下でループを作り、再びAピラー内まで通しました。
フロント・リアカメラの固定
フロントカメラは敢えて運転席からはルームミラーで直視できない位置(視界に入らない位置)に設置しました。黒プリを避けてフロントワイパーの軌道内に設置するのがベストです。
リアカメラはリアウィンドウの中央部に設置しました。
バックドアとの位置関係は以下の写真の通りです。
完成写真
フロントカメラ 前側からの完成写真です。
フロントカメラ 後側からの完成写真です。
リアカメラ 前側からの完成写真です。
リアカメラ 後側からの完成写真です。
バックドア周りの配線です。
ACC電源を分岐した室内のシガーライターの写真です。
リアカメラ接続ケーブルを通した内装の写真です。
最後に
いかがだったでしょうか。純正のシガーライターからドライブレコーダーに電源を供給した場合、取り付けはいとも簡単ですが、見栄えが悪いです。今回の取り付け方法のように配線を見えないように配策した場合は非常に手間がかかりますが見栄えが段違いです。作業内容としては特に難しい内容ではないと思いますので、是非ともディーラーやショップに任せずに自分で取り付けてみましょう。コスパは最高で、満足度の高いこだわった作業が出来ます。
ドライブレコーダー取付以外にもたくさんの整備記事を記載しています。是非ご覧くださいませ。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。車いじりの参考になれば幸いです。コメントやお問合せもお待ちしております。コメントは記事の最下段にある【コメントを書き込む】までお願いします。また、YouTubeも公開しています。併せてご覧頂き、”チャンネル登録”、”高評価”もよろしくお願いいたします。YouTubeリンクはこちら
コメント