はじめに
インターネットの普及により有益な情報が一昔前よりは簡単に入手できるようになりました。しかしながら、欲しい情報の核心的な部分は公開されておらず、肝心な部分が分からない事もよくあります。
国産車は日本自動車整備振興会連合会が会員向けに提供しているFAINES(ファイネス)やオーナー自らが正規ディーラーで購入や問い合わせすることで、整備要領書が確認出来ますが、一般ユーザーにとっては馴染みが無く、読み取り方法も独特で理解しづらいと思います。
そこで今回は、エンジンオイル・エンジンオイルフィルター(エレメント)交換について日産 フェアレディZ NISMO Z34を用いて徹底的に解説します。作業におけるカンコツや、各部位の締め付けトルク値についても実際の作業写真を交えて解説します。
同じ車種をお乗りのオーナーはもちろん、これからエンジンオイル・フィルターを交換しようと検討されているオーナーにとっても有料級の情報になると思います。この記事をご覧になりご自身でエンジンオイル交換、フィルター交換に挑戦される方が一人でも増えれば幸いです。
欧州車のエンジンオイル・フィルター交換作業についてはこちらの記事をご覧ください。
車両情報
・車名:ニッサン
・型式:CBA-Z34
・原動機の型式:VQ37
・総排気量又は定格出力:3.69L
・初度登録年月:2017年(平成29年)2月
・NISMO仕様
購入部品
エンジンオイルはWAKO’S(ワコーズ)4CR 5W-40を5.0L、エンジンオイルフィルターはPITWORKのAY100-NS004を準備します。Amazon等のECサイトから購入すれば、小売店の中間マージンが無い分だけ店舗で買うよりもかなり安く購入できます。
また、古いエンジンオイルを処分する際にはポイパック、エンジンオイルの注入にはオイルジョッキがあると便利です。
オイルジョッキは蓋があると埃・虫の混入が防げますので蓋付きのもので5Lのものが重量は重くなりますが、エンジンオイルを一度に注ぎきれて便利です。
作業紹介
オイル量の把握
エンジンオイルを抜く前に、車両が水平になっていることを確認し現状のオイル量をオイルレベルゲージを使い把握します。交換前のオイル量を把握する事はエンジンオーバーホールの要否判断に繋がりますのでとても大切です。ちなみに、車種によっても差はありますが、オイルレベルゲージの上限値と下限値の差は約1Lとなります。
作業スペースの確保
フロアジャッキと馬を使用し、車両をジャッキアップします。ジャッキアップについてはこちらの記事をご覧ください。安全なジャッキアップ方法について解説しています。
エンジンオイル抜き
ドレンボルトを緩める前にフィラーキャップ(注ぎ口のキャップ)とオイルレベルゲージを抜いておくとエンジン内部に空気が入るため、早くエンジンオイルを抜くことができます。
フィラーキャップにはエンジンオイルの絵が描かれています。
車両によってはフィラーキャップが固着してなかなか外れないこともあります。その際はプライヤー等の先端をフィラーキャップの凹み部分にあてがいながらプライヤー全体を回すといとも簡単に外すことが出来ます。
アンダーカバー取り外し
Z34 NISMOの場合、エンジンオイルドレンボルトやエンジンオイルフィルターは樹脂製のアンダーカバーの中にあります。よって、取り外しや交換の際にはアンダーカバーの脱着が必須です。
なお、アンダーカバーは二面幅10mmのボルト4本(下の写真の赤丸部分)を緩めると一部分がめくれるように設計されています。
二面幅が10mmのソケットレンチ等を使用してボルトを緩めます。
ボルトを緩めたままの状態だと、まだアンダーカバーがオイル排出の経路上にありますので、クリップや紐等で固定します。私は黄色の紐を使って以下のように固定しました。
ドレンボルト取り外し
エンジンオイルドレンボルトの二面幅は14mmです。メガネレンチ等を使用して緩めます。
またオイル排出の際には下記リンクのような専用工具があると火傷やオイル汚れのリスクを無くせます。
エンジンオイルフィルター取り外し
エンジンオイルフィルターをフィルターレンチを使用して取り外します。車両によっては固着してなかなか外せないものもありますので、”うで”の長さが長い工具を使用すると楽に作業出来ます。
オイルフィルターを取り外した後の状態が以下の写真です。
エンジンオイルフィルター取り付け
取り付け面に砂等のゴミが残っているとゴムパッキンを傷つけるリスクがありますので、新しいフィルターを取り付ける前にエンジン側の取り付け面をショップタオル等を使用して清掃します。
新しいオイルフィルターのパッキンの周囲に新しいエンジンオイルを指で塗布します。
オイルフィルターの締め付けは『オイルフィルターがエンジン側取り付け面に当たってから2/3回転締め付ける』と適正な締め付けトルクになります。締め付けトルクに換算すると17.7N・m相当となります。
ドレンボルト取り付け
新しいガスケット(ドレーンプラグワッシャ)をドレンボルトにセットして車両に取り付けます。ガスケットは再使用不可部品です。必ず交換しましょう。再使用すると普通にエンジンオイルが漏れます。またガスケットには取り付け方向がありますので注意が必要です。締め付けトルクは34.3N・mです。トルクレンチを使用して締め付けます。
エンジンオイル注入
エンジンオイルを注入する前に、深呼吸してドレンボルトは締めたかな?オイルフィルターは締めたかな?と確認する事が非常に大切です。床に4.0L/1.5万円のオイルをぶちまけないようにしましょう。
エンジンオイルが注入できましたら、フィラーキャップを閉めて、オイルレベルゲージを戻し、エンジンを掛け、オイルを循環させた後に10分以上経過してから、オイル量をオイルレベルゲージで確認します。少なければさらに補充してレベルゲージの上限に合わせれば作業完了です。
なお、万が一、エンジンオイルを入れ過ぎてしまった際は落ち着いてこちらの記事をご覧ください。
最後に
いかがだったでしょうか。エンジンオイル交換作業は車いじりの中でも初歩的な作業ですが、突き詰めるとかなり奥が深いことが分かっていただけたと思います。定期的なエンジンオイル交換はエンジンを良い状態で維持していくのに最良の手段です。DIYでやるには一番オススメな作業です。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。車いじりの参考になれば幸いです。コメントやお問合せもお待ちしております。コメントは記事の最下段にある【コメントを書き込む】までお願いします。また、YouTubeも公開しています。併せてご覧頂き、”チャンネル登録”、”高評価”もよろしくお願いいたします。YouTubeリンクはこちら
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