自動車整備士が教えるエンジンオイル交換 MINI クロスオーバー R60で徹底解説

Crossover R60

はじめに

国産車は日本自動車整備振興会連合会が会員向けに提供しているFAINES(ファイネス)やオーナー自らが正規ディーラーで購入や問い合わせすることで、整備要領書が確認出来ますが、欧州車などの輸入車になると途端に開示されている情報が減ってしまいます。そこで今回はドイツ車であるBMW MINIのエンジンオイル交換作業についてDBA-ZC16 CROSSOVER R60を用いて徹底的に解説します。

同じ車種をお乗りのオーナーはもちろん、BMW MINIにお乗りのオーナーにとっても有料級の情報になると思います。この記事をご覧になりご自身でオイル交換に挑戦される方が一人でも増えれば幸いです。

また、オイルフィルターの交換についても知りたい!という方はこちらの記事もご覧ください。

さらに、写真だけでなく動画でも確認したい!という方に向けてYouTubeも公開していますので併せてご覧いただければ幸いです。”高評価“と”チャンネル登録“もよろしくお願い致します。

車両情報

・車名:BMW
・車台番号:WMWZC32080WN*****
・型式:DBA-ZC16
・原動機の型式:N18B16A
・総排気量又は定格出力:1.59L
・ボディカラー:ライトホワイト(B15)
・モデルイヤー:前期2011年1月〜2014年8月
・初度登録年月:2013年(平成25年)3月18日

購入部品

エンジンオイルはWAKO’S(ワコーズ)4CT-S 10W-50を使用します。私はいつも20L缶で購入しています。エンジンオイルは1L缶よりも4L缶、4L缶よりも20L缶で購入する方が割安になりますので今の車両をある程度の年数乗ると決めていれば20L缶での購入がオススメです。

4L缶も以下のリンクから購入できます。小売店の中間マージンが無い分、店舗で購入するよりも割安で購入できます。

毎回エンジンオイルを使い切って”保管したくない”方には1L缶がおすすめです。

やっぱりエンジンオイルはメーカー純正品が良い!という方にはこちらをどうぞ。

下抜きでのエンジンオイルの交換作業にはガスケットの購入が必須です。MINI純正のガスケット品番は11137546275です。以下のリンク先から直接購入が可能です。

また、社外品を使用する場合は内径が16mmのガスケットになります。

また、古いエンジンオイルを処分する際にはポイパック、エンジンオイルの注入にはオイルジョッキがあると便利です。

オイルジョッキは蓋があると埃・虫の混入が防げますので蓋付きのもので5Lのものがエンジンオイルを一度に注ぎきれて便利です。

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作業紹介

オイル量の把握

エンジンオイルを抜く前に、車両が水平になっていることを確認し現状のオイル量をオイルレベルゲージを使って把握します。交換前のオイル量を把握する事はエンジンオーバーホールの要否判断に繋がりますのでとても大切です。一概には言えませんが、オイル消費に伴うオーバーホールの要否は走行距離1,000kmで1.0L以上オイルを消費しているかどうかが判断の基準です。欧州車は国産車と異なり、不具合でなくともオイルが普通に減りますので、どのくらいのペースで減っているのかを把握することはとても大切です。ちなみに、車種によっても差はありますが、オイルレベルゲージの上限値と下限値の差は約1Lとなります。

作業スペースの確保

フロアジャッキを使用し、車両をジャッキアップします。ジャッキアップについてはこちらの記事をご覧ください。安全なジャッキアップ方法について解説しています。

CROSSOVER R60はドレンボルトがオイルパンの下面かつ後ろ側に設定されていますので、水平状態でなく、前輪のみをジャッキアップした状態でも問題なくオイルは排出できます。また、CROSSOVER R60のように車高が高い車両であれば、スロープを使用することで作業スペースを確保することも可能です。作業中に車両の下敷きになるリスクも回避できますので非常にオススメです。

4個あれば車両を水平にすることも可能です
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ちなみにハイリフトタイプもあります。4個あればマフラー交換などの作業も可能です。

エンジンオイル交換作業であれば、前輪だけスロープを使用しても作業スペースは十分確保できます。



エンジンオイル抜き

ドレンボルトを緩める前にフィラーキャップ(注ぎ口のキャップ)とオイルレベルゲージを抜いておくとエンジン内部に空気が入るため、早くエンジンオイルを抜くことができます。

また、フィラーキャップを外した際はエンジン内部の状態を目視で確認しておくと良いでしょう。オイル管理が悪い車両であればスラッジやカーボンの付着が見受けられます。

フィラーキャップから内部が見えます

CROSSOVER R60のドレンボルトは下の写真の赤丸の部分です。

さらに拡大すると以下の写真です。国産車では二面幅14mmのボルトが非常に多いですが、MINIは2面幅が8mmの凹タイプのドレンボルトになります。

ドレンボルトの取り外しはHEX(六角)レンチを使用します。

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また、このタイプのドレンボルトはボルトを緩めるとドバドバとオイルがオイルパンから垂れてきますので”手を一切汚さずに交換する方法”について動画で紹介します。

動画ではカメラがあるのでやりづらそうにしていますがカメラがなければ楽に作業できます。また、L型ロング六角棒レンチを使用するとオイルで汚れた後の清掃も簡単に完了します。

ドレンボルト締め付け

ドレンボルトが外せましたら、新品のガスケットに交換します。ガスケットは主に素材が銅やアルミで出来ておりガスケットがボルトの軸力により潰れてオイルパンとドレンボルトの間に密着することでオイル漏れを防いでいます。よって、一度緩めたガスケットは変形しており、再使用すると普通に漏れますので、”再使用は不可”です。

参考までにBMW純正のオイルフィルターに付属してくるガスケットの寸法について解説します。

外径:22.22mm
内径:16.18mm
厚み:2.11mm

ドレンボルトの寸法も記載します。

M16
P1.5

内径が16mmのガスケットであれば純正でなくとも使用できます。漏れなければ問題ありません。

締め付けはトルクレンチを使用して30N・mで締め付けます。

締め付けていく際のトルクの立ち上がりがリアルタイムに確認できることがデジタルトルクレンチの最大のメリットです。

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また、排出したオイル量を管理することは入れるオイル量の目安にもなりますので非常に重要です。私は100均のトレイにメモリを自分で入れたオイル受けを自作して使用しています。横から強力なライトで照らすとオイルのラインがはっきりと見えます。今回はオイル消費の確認もあり、排出量はかなり少なく約2.7Lでした。

エンジンオイル注入

20L缶からオイルジョッキへ移す作業はオイルサーバーがあると便利です。

今回はエンジンオイルのみの交換のため、3.7Lを注入します。エンジンオイルを注入する前に、深呼吸してドレンボルトは締めたかな?オイルフィルターは締めたかな?と確認する事が大切です。床に1.0L/5千円のオイルを4Lぶちまけた人が私の周りにはいました。笑

エンジンオイルが注入できましたら、フィラーキャップを閉めて、オイルレベルゲージを戻し、エンジンを掛け、オイルを回した後に滴下するの待ち、オイル量をオイルレベルゲージで確認します。少なすぎればさらに補充してレベルゲージの上限に合わせれば作業完了です。

なお、万が一、エンジンオイルを入れ過ぎてしまった際は落ち着いてこちらの記事をご覧ください。

最後に

いかがだったでしょうか。エンジンオイル交換作業は車いじりの中でも初歩的な作業ですが、突き詰めるとかなり奥が深いことが分かっていただけたと思います。また、MINIの場合は作業後に診断機を使用してCBS項目のリセットが必要ですのでお持ちの方は実施ください。お持ちで無ければリセットだけディーラーに頼みましょう。

CBS項目のリセットについてはこちらの記事をご覧ください↓

エンジンオイル交換以外にもたくさんの整備記事を記載しています。是非ご覧くださいませ。

最後までご覧頂き、ありがとうございました。車いじりの参考になれば幸いです。コメントやお問合せもお待ちしております。コメントは記事の最下段にある【コメントを書き込む】までお願いします。また、YouTubeも公開しています。併せてご覧頂き、”チャンネル登録”、”高評価”もよろしくお願いいたします。YouTubeリンクはこちら



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