はじめに
インターネットの普及により有益な情報が一昔前よりは簡単に入手できるようになりました。しかしながら、欲しい情報の核心的な部分は公開されておらず、肝心な部分が分からない事もよくあります。
国産車は日本自動車整備振興会連合会が会員向けに提供しているFAINES(ファイネス)やオーナー自らが正規ディーラーで購入や問い合わせすることで、整備要領書が確認出来ますが、一般ユーザーにとっては馴染みが無く、読み取り方法も独特で理解しづらいと思います。
そこで今回は、前後タイプのドライブレコーダー取付について日産 マーチ K13改 NISMO Sを用いて徹底的に解説します。また、この車両には納車時から日産純正ドライブレコーダーが取り付けられていますので純正ドライブレコーダーの取り外し方とKENWOODのオプション部品である”電源ケーブル”を使用した駐車録画機能についても併せて解説していますので同じ車種をお乗りのオーナーはもちろん、これからドライブレコーダーを取付ようと検討されているオーナーにとっても有料級の情報になると思います。
ドライブレコーダー取付工賃の相場は前後タイプで約2万5千円です。自分で取り付けると工賃はもちろん無料です。この記事をご覧になりご自身でドライブレコーダーの取付に挑戦される方が一人でも増えれば幸いです。
車両情報
・車名:ニッサン
・型式:DBA-K13改
・原動機の型式:HR15
・総排気量又は定格出力:1498cc
・初度登録年月:2016年(平成28年)9月
・NISMO仕様
購入部品
数ある商品の中で今回はスタンドアローン型で、前後撮影対応の2カメラドライブレコーダー
【KENWOOD DRV-MR760】を選びました。
撮影画質は”フルハイビジョン (1920×1080)”であり前後ともF1.8の明るいレンズを採用しており夜間やトンネル内、夕暮れ時などの暗いシーンでも明るく撮影でき、決定的なシーンの撮り逃しがありません。また、取り付けにおいてはリアカメラとの接続がUSBのストレートタイプであり配策がやり易いというメリットもあります。
Amazon等のECサイトから購入すれば、小売店の中間マージンが無い分だけ店舗で買うよりもかなり安く購入できます。取付工賃だけでなく商品代も節約出来ます。
また、この商品はKENWOOD純正の電源ケーブルを使用することでエンジンOFF時にも撮影ができる”駐車録画機能”が使えますので併せて取り付けしていきます。部品番号はCA-DR100です。
開梱した状態が以下の写真です。全ての部品が個別梱包されており品質は申し分ありません。さすが日本メーカーの商品です。
作業紹介
通電確認
ドライブレコーダーを実際に車両に取り付ける前に、机上で仮接続を行い通電確認をします。確率は低いですが初期不良の早期発見や配線の接続イメージを把握するためにも非常に有効です。
また、通電確認には安定化電源があると車内にドラレコを持ち込む必要がなく、机上で簡単に確認できます。
日産純正ドライブレコーダー本体 取り外し
納車時から取り付けられていた日産純正ドライブレコーダーの部品番号はG20A0-C9961です。
両面テープでフロントガラスにしっかりと貼り付けられています。
フロントガラスに傷を付けずに両面テープを剥がすにはナイロン製の糸を使い左右にノコギリのように動かすと簡単に剥がせます。
フロントガラスに両面テープの糊だけが綺麗に残ります。
両面テープの糊残りはプラスチック製のスクレーパーを使い剥ぎ取ります。
この状態まで来れば、あとはパーツクリーナーとウエスを使い糊残りを溶かしながら除去します。
傷ひとつなく取り外せました。
フロントピラーガーニッシュ(通称:Aピラー)取り外し
ドライブレコーダー本体をフロントガラス上部に固定した際に電源ケーブルやリアカメラとの接続ケーブルを綺麗に配策するためにはAピラーの取り外しが必要です。
Aピラー周辺のウェザーストリップを取り外します。取り外しは指でウェザーストリップを掴み、下方向に引っ張れば簡単に外せます。
ウェザーストリップが外せましたらAピラーの上部を指でつかみ、手前側に引っ張るとAピラーが外せます。Aピラーを取り外した後の写真が以下です。
Aピラーの裏面は以下のようになっています。鉄クリップ2ヶ所で車両に固定されています。
クラスターリッドC 取り外し
このドライブレコーダーで駐車録画機能を使うには常時電源(BAT)、アクセサリー電源(ACC)、アースの3本の配線が必要です。ヒューズボックス等からも給電できますが、今回は日産純正のドライブレコーダー取り外しが必要でしたのでナビ裏から給電しました。ナビ裏にアクセスするにはクラスターリッドCを取り外していきます。
K13 マーチのクラスターリッドCの取り外しは非常に簡単です。以下のクラスターリッドCの位置に樹脂ヘラを挿入し、手前に勢い良く引き上げるとクラスターリッドCの下側が外せます。
クラスターリッドCの上部にはハザードSWがありますので配線のコネクターを取り外します。
クラスターリッドCの裏面はこのようになっております。11ヶ所の鉄クリップで車両に固定されています。
クラスターリッドCを取り外した後の車両の写真は以下の通りです。
リッドグローブボックス 取り外し
この車両は日産純正部品のリッドグローブボックス(部品番号:68560 1HJ0A)を取り付けていますので配線を隠すためにリッドグローブボックスも取り外します。取り外しにはビス2ヶ所を外し、リッドグローブボックスを手前に引っ張れば取り外しできます。
リッドグローブボックスの裏面はこのようになっております。9ヶ所の鉄クリップで車両に固定されています。
リッドグローブボックスを取り外した後の状態が以下です。
ナビゲーションユニット 取り外し
ナビゲーションユニット本体を取り外す前に画面に傷がつくことを予防するために養生します。養生にはキッチンペーパーとマスキングテープを使用します。
ナビゲーションユニットを固定しているビス4本をプラスドライバーで緩めます。
オートエアコンのコントローラー部分との干渉傷を予防するためにウエス等で養生します。
ナビゲーションユニットを手前に引き抜けばナビゲーションユニット裏側にアクセスできます。
日産純正ドライブレコーダー配線除去
ここまで取り外すことでようやく日産純正ドライブレコーダーが車両から取り外せます。
ちなみに、日産純正ドライブレコーダーの電源ケーブルは途中にハーネスコネクターがあります。
電源ケーブルの配線
日産純正のドライブレコーダー(部品番号:G20A0-C9961)の接続に必要な配線は今回のKENWOOD製ドライブレコーダーの配線と同じため、同じ場所から給電することにしました。
黄色線が常時電源、赤色線がアクセサリー電源、黒色線がアースです。絶縁被覆付圧着端子を使用して結線しました。
電源ケーブルの配策
インストからAピラーへ配線を通すには”自在ワイヤー”を使用します。
また、市販の配線通し等を使用するとさらに簡単にできます。
今回の作業は電源ケーブルをインストからAピラーを経由してフロントガラス上部まで通しますので、インストから自在ワイヤーを通して電源ケーブルを引き上げます。
電源ケーブルをフロントガラス上部まで配策できましたら電源ケーブルの作業は完了です。
リアカメラ接続ケーブル 配策
フロントドアのウェザーストリップを取り外し、ヘッドライニング(天井)とオープニングの間にリアカメラ接続ケーブルを通します。
Bピラーの間も自在ワイヤーを使用し、前後にリアカメラ接続ケーブルを通します。
リアドアのウェザーストリップも取り外し、ヘッドライニング(天井)とオープニングの間にリアカメラ接続ケーブルを通します。
また、バックドアの内側のガラス上部にリアカメラを取り付けるには車体とバックドア間にある蛇腹に配線を通す必要があります。この蛇腹を通さずにリアカメラを取り付けると接続ケーブルがバックドアを開けるたびに見え、接続ケーブルを車体とバックドアの間に挟み込んでしまう恐れもあります。
蛇腹部分を拡大した写真が以下です。リアドアを経由して後方に持ってきた接続ケーブルを蛇腹の中を通していきます。
バックドアのウェザーストリップを取り外し、リアドアからリアサイドトリムとバックドアオープニングの間に接続ケーブルを通します。接続ケーブルを通すにはこちらも自在ワイヤーを使用します。接続ケーブルが通せましたら、自在ワイヤーを以下の写真のように曲げながら蛇腹の下側とリアサイドトリムとバックドアオープニングの間に通します。自在ワイヤーのバックドア側の先端に接続ケーブルをマスキングテープで固定して蛇腹の下側まで接続ケーブルを通します。
蛇腹の中には配線が元々通っていますので傷を付けないように樹脂製の長いタイラップを通します。タイラップを蛇腹の中を通す際にはシリコンスプレーを蛇腹の中に塗布すると簡単に通せます。タイラップにリアカメラ接続ケーブルのコネクター先端をマスキングテープを使って固定します。
抜けないようにしっかりと固定します。
徐々に徐々に引き上げながら蛇腹の中にリアカメラ接続ケーブルを通していきます。ここがドライブレコーダー取り付けの最大の難関です。
蛇腹の中に接続ケーブルが通せましたら次に、蛇腹の上側の穴からバックドアの上部にあるメクラシールが貼ってある穴まで自在ワイヤーを通し、同様にリアカメラ接続ケーブルを通します。
リアカメラ固定
リアカメラ接続ケーブルをバックドアの中まで通せましたら、接続ケーブルの長さを調節し、リアカメラをバックドアガラスに固定します。固定する位置はリアワイパーの拭き取り範囲に入るようにし、さらに、熱線を避けながら両面テープで貼り付けます。貼り付ける前にはパーツクリーナーを使用して脱脂しましょう。
しっかりと両面テープ部分を指で押してバックドアガラスに固定します。
フロントカメラ固定
リアカメラ接続ケーブルをフロントカメラの接続口まで伸ばし長さを調節します。フロントカメラの取り付け位置を決めて両面テープで固定します。こちらも固定する位置はフロントワイパーの拭き取り範囲に入るようにします。また、貼り付ける前にはパーツクリーナーを使用して脱脂します。
リアカメラ接続ケーブル 配策
フロントカメラの取り付け位置も決まり、接続ケーブルの必要長さが確定しましたら余分な接続ケーブルを束ねて収納します。私は余分な接続ケーブルはAピラーの下を通してインスト内で束ねて収納し、さらにAピラーの中を再度通してフロントカメラまで配策しています。
マーチの場合はインスト内部にスペースがありますので余裕で余分な接続ケーブルが収納できます。
リッドグローブボックスの下に収納しました。
配線の固定にはタイラップがおすすめです。
完成写真
車両の外から撮影したフロントカメラの位置です。今回は運転席から操作しやすい位置になるように運転席側に取り付けました。
室内側からの写真です。
バックカメラの取り付け位置です。
最後に
いかがだったでしょうか。作業としては電源の取り出しとバックドアにある蛇腹の中にリアカメラ接続ケーブルを通すことが出来れば特に難しくはない作業内容です。オーナー自らが作業することで取り付け工賃約2万5千円を節約出来れば幸いです。なお、見えないところは徹底的に手を抜く業者も中にはいますので作業を外注する場合は注意が必要です。
ドライブレコーダー取り付け以外にもたくさんの整備記事を記載しています。是非ご覧くださいませ。
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