はじめに
数ある自動車部品の中で唯一路面と接している部品、それがタイヤです。降雪地域にお住まいの方は、ラジアルタイヤからスタッドレスタイヤへ、またはその逆の交換で、少なくとも年に二回は交換する機会があると思います。たかがタイヤ交換と軽く考え、正しい作業手順、作業方法を守らずにタイヤ交換してしまうと、最悪のケースでは、ホイールナットが緩んだり、クリップボルト(通称:ハブボルト)がオーバートルクにより折れたりすることで、事故に直結します。
MINI R60ではMakitaの電動インパクトレンチを使用したタイヤ交換方法について徹底解説しましたが、今回は電動インパクトレンチやエアインパクトレンチを使用しない、またはホイールナットがジュラルミン等で使用できない場合のタイヤ交換方法について日産車のマーチ K13改 NISMO Sを用いてタイヤ交換(タイヤ履き替え)作業について徹底解説します。
同じ車種をお乗りのオーナーはもちろん、トヨタ車やホンダ車にお乗りのオーナーにとっても有益な情報になると思います。この記事をご覧になりご自身でタイヤ交換に挑戦される方が一人でも増えれば幸いです。
MINI R60のタイヤ交換記事についてはこちらをご覧ください。
また、タイヤ取り付けに重要なトルク管理についてもっと詳しく知りたい!という方はこちらの記事もご覧ください。
車両情報
・車名:ニッサン
・型式:DBA-K13改
・原動機の型式:HR15
・総排気量又は定格出力:1498cc
・初度登録年月:2016年(平成28年)9月
・NISMO仕様
作業紹介
ホイールナット緩め
車両をリフトアップする前にタイヤが接地した状態でホイールナットを軽く緩めます。
なお、ロックナットを使用している場合はロックナットを最初に緩めます。ちなみにRAYSのロックナットは7角形でスリットが入っています。
ロックナット専用のソケットレンチが付属しており、二面幅は19mmです。
専用ソケットレンチをロックナットにセットし、19mmのソケットレンチで緩めます。
スピンナハンドルの全長が600mmあると軽々とホイールナットを緩めることができます。
残りの3本についても軽く緩めます。
車両リフトアップ
タイヤ交換する際には車両をリフトアップする必要があります。2柱リフトやフロアジャッキ、シザーズジャッキ、パンタグラフジャッキ等を使用して車両をリフトアップします。
一般的にはフロアジャッキと馬を使用し、車両をジャッキアップします。ジャッキアップについてはこちらの記事をご覧ください。安全なジャッキアップ方法について徹底解説しています。
タイヤ取り外し
リフトアップ前にある程度ホイールナットを緩めているとトルクの出ない電動インパクトレンチでも早回しが可能です。専用ソケットを使用してロックナットを外します。
他の3本も同様に緩め、タイヤを取り外します。
タイヤを取り外す際に使用する専用工具も販売されています。タイヤのサイズが大きく重量があるタイヤを交換する際には非常に便利です。
クリップボルトの清掃
タイヤが外せましたら、クリップボルト(通称:バブボルト)をパーツクリーナを使用して清掃します。
軸力を安定させるためにクリップボルトに何かを塗布したいと思われる方は東レ・ダウコーニングのモリコートがおすすめです。一方で、WAKO’Sのスレッドコンパウンドを塗布するのは厳禁です。
タイヤ空気 補充
長期間使用していないタイヤを再使用する場合は空気の補充が必要です。最寄りのガソリンスタンド等で補充しましょう。私はガレージ内でタイヤ空気が補充できるようにASTRO PRODUCTSのエアーコンプレッサーを設置しています。空気圧が少ない状態で公道を走るリスクが無くせますのでエアーコンプレッサーの導入は非常にお勧めです。
なお、タイヤ空気はタイヤを接地させる前に調整します。メーカー指定の空気圧は運転席側のドアオープニング部に貼られているステッカーに指示されています。
ホイールナット 締め付け
ホイールナットの締め付けにはトルクレンチを使用します。日産 マーチ K13改の締め付けトルク値は110N・mです。
ホイールのような丸い物体を均一に締め付ける(=軸力を安定させる)には千鳥(ちどり)締付けがとても有名ですが、もう一歩進んだ締付方法があります。それは規定トルクに到達するまでのSTEPを段階的に分けることです。
二回目:規定トルクの75%程度のトルク設定値で番号順に締め付け
三回目:規定トルクで番号順に締め付け
このやり方については、個人的に参加したKTC(京都機械工具株式会社)主催のトルク講座でも『松・竹・梅』で締めることとして同内容を説明されていました。自分の車のホイールナットを締め付けることから試してみてはいかがでしょうか。(ホイールだと一回目:55N・m、二回目:80N・m、三回目:110N・mのイメージです)
最後に
いかがだったでしょうか。タイヤ交換作業は車いじりの中でも初歩的な作業ですが、突き詰めると奥が深いことが分かっていただけたかと思います。国産車においても輸出車と締め付け方法の違いなどありましたが基本的な考え方は同じです。路面と接地している唯一の重要部品ですので他人に任せず、この情報を活用いただき、オーナー自らが自信を持ってメンテナンスしていただければ幸いです。自分の作業の保証度を上げる為にもトルクレンチを使用したトルク管理をおすすめします。
タイヤ交換作業以外にもたくさんの整備記事を記載しています。是非ご覧くださいませ。
また、タイヤを取り外した際はタイヤの溝の深さや釘などの異物が刺さっていないかなども併せて点検しましょう。タイヤの溝が1.6mm以下になっていると車検は通りません。以下のリンク先をご覧いただき、安くタイヤを交換しましょう。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。車いじりの参考になれば幸いです。コメントやお問合せもお待ちしております。コメントは記事の最下段にある【コメントを書き込む】までお願いします。また、YouTubeも公開しています。併せてご覧頂き、”チャンネル登録”、”高評価”もよろしくお願いいたします。YouTubeリンクはこちら
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