- はじめに
- 車両情報
- 購入部品
- バッテリー交換作業 紹介
- フードオープナーを引いてフードを開く
- バッテリーカバー取り外し
- 交換前のバッテリー電圧を測定する
- ワイパー取り外し前に現在の位置にマスキングテープ貼り
- 助手席側ワイパーキャップ取り外し
- 15mmソケットを使いナット緩め
- ガスケット(防水ラバー)取り外し
- 10mmソケットを使い樹脂ナット3箇所取り外し
- ウォッシャーチューブ&ハーネス取り外し
- カウルパネルカバー取り外し
- バッテリー固定ブラケット取り外し
- サージプロテクター取り付け
- バックアップ電源の接続
- バッテリーターミナル取り外し&養生
- バッテリー排気ホース取り外し
- バッテリー摘出
- 新バッテリーの準備
- 新バッテリーの搭載
- 排気ホースの取り付け
- バッテリーターミナルの固定
- バッテリー固定ブラケットの取り付け
- バッテリーの登録・記録 紹介
- 最後に
はじめに
国産車は日本自動車整備振興会連合会が会員向けに提供しているFAINES(ファイネス)やオーナー自らが正規ディーラーで購入や問い合わせすることで、整備要領書が確認出来ますが、欧州車などの輸入車になると途端に開示されている情報が減ってしまいます。
そこで今回はドイツ車であるBMW MINIのバッテリー交換についてDBA-ZC16 CROSSOVER R60を用いて徹底解説します。また、バッテリー交換後の【Register(レジスター):バッテリー交換の記録・登録】作業についてもBMW・MINIの純正診断機である”ISTA(イスタ)”を用いて徹底解説します。
同じ車種をお乗りのオーナーはもちろん、R60 クロスオーバー以外の車種にお乗りのオーナーにとっても非常に有益な情報になると思います。ここまで詳しく交換手順を解説した記事はありません。この記事をご覧になりご自身でバッテリー交換に挑戦される方が一人でも増えれば幸いです。
また、バッテリー交換の際に発生しうるBMW・MINI特有の不具合については以下の記事で徹底解説しています。併せてご覧ください。
車いじりの参考になれば幸いです。
車両情報
・車名:BMW
・車台番号:WMWZC32080WN*****
・型式:DBA-ZC16
・原動機の型式:N18B16A
・総排気量又は定格出力:1.59L
・ボディカラー:ライトホワイト(B15)
・モデルイヤー:前期2011年1月〜2014年8月
・初度登録年月:2013年(平成25年)3月18日
購入部品
今回購入したバッテリーはVARTA(読み方はファルタ、もしくはバルタ)製の純正相当バッテリーです。
・部品名称:SILVER AGM DYNAMIC
・部品番号:570 901 076
・仕様:E39 12V 70Ah 760A(EN)
また、VARTA以外にも安心して使用できるバッテリーについて紹介します。以下が候補になります。
・部品名称:BLACK-AGM
・部品番号:BLA-70-L3
なお、参考までに車両に搭載されていた純正バッテリーの部品番号は以下です。
・仕様:12V 70Ah 720A(EN/GS)
バッテリー交換作業 紹介
フードオープナーを引いてフードを開く
助手席の左下にあるフードオープナーを指で引いてフード(ボンネット)を開きます。
バッテリーカバー取り外し
BMW MINI CROSSOVER R60のバッテリーは下の写真の中央部にある、バッテリーカバーの中に鎮座しています。
バッテリーカバーの取り外しは指で上側に引き抜けば簡単に外せます。外したバッテリーカバーの写真が以下です。
裏面には12箇所に爪があります。
カバーを外すとバッテリーが見えます。
交換前のバッテリー電圧を測定する
交換前のバッテリーの状態を可視化する為にバッテリー電圧を測定します。測定結果は12.42Vでした。また、後程使用するバックアップ電源の電圧を決めるためにも測定値が参考になります。
ワイパー取り外し前に現在の位置にマスキングテープ貼り
バッテリー交換にあたり、助手席側のワイパーアームの取り外しが必要です。取り外し前のワイパーアームの位置を記録しておくためにマスキングテープを用いてマーキングしておきましょう。復元時に迷わず取り付けが出来ます。
助手席側ワイパーキャップ取り外し
ワイパーアームを取り外すために、ワイパーキャップを取り外します。ワイパーキャップは指で真上に引き上げれば簡単に外せます。
取り付けナットに被せる形でワイパーキャップは固定されています。
ワイパーキャップを取り外した後のワイパーアーム固定ナットです。2面幅は15mmです。ソケットレンチ等で緩めていきます。
15mmソケットを使いナット緩め
15mmのソケットレンチを使用してナットを緩めます。錆が酷く固着している場合は、WAKO’Sのラスペネを使用しましょう。
ナットを浮かせた状態にしてワイパーアームを揺すりながら取り外します。
ワイパーアームを取り外した後の状態です。縦にセレーションが切られておりその縦溝にワイパーアームが嵌まっています。
ガスケット(防水ラバー)取り外し
樹脂製のナットを緩めるために、樹脂製ナットよりも先にガスケット(防水ラバー)を取り外します。取り外しは車両前側に指で引っ張ると簡単に外せます。
ガスケットを取り外した後は清掃しましょう。
10mmソケットを使い樹脂ナット3箇所取り外し
カウルパネルカバーを固定している2面幅10mmの樹脂製ナット3個を取り外します。
2面幅が10mmのソケットレンチで緩めます。
同様にソケットレンチで緩めます。
車両前側と車両外側でナットが異なりますので注意が必要です。
ウォッシャーチューブ&ハーネス取り外し
カウルパネルカバーからウォッシャーチューブとハーネスを取り外します。
カウルパネルカバー中央部にあるクリップからもそれぞれを外しておきます。
カウルパネルカバー取り外し
樹脂製ナットの取り外しやウォッシャーチューブ、ハーネスの外しが出来ましたらいよいよカウルパネルカバーを取り外していきます。カウルパネルカバーのボディとの固定方法は独特で、外し方がわからないまま力任せに取り外そうとすると簡単にカウルパネルカバーが割れてしまいます。
カウルパネルカバーの取り外し方は、まず、バッテリーカバーを外した穴から手を入れます。そして、フロントウィンドウとカウルパネルカバーの間に指を入れてカウルパネルカバーの車両中央部から車両外側に向けて上方向に力を入れていき、カウルパネルカバーを浮かせていきます。
カウルパネルカバーの端部はフィニッシャーの下にありますのでフィニッシャーと干渉してキズがつかないように丁寧に引き抜きます。
全体的にカウルパネルカバーが外せましたら他部品に干渉させないように車両から取り外します。
取り外したカウルパネルカバーの写真が以下です。
カウルパネルカバーの裏面はこのような構造になっています。
フロントウィンドウガラスの下に溝があり、その溝にカウルパネルカバーの突起が入り込む構造になっています。つまり、溝からカウルパネルカバーを外さない状態で力任せに引っ張ると簡単に割れます。
カウルパネルカバーを取り外した後の状態が以下です。ようやくバッテリーが顔を出しました。
バッテリー固定ブラケット取り外し
バッテリーを固定しているブラケットを取り外します。
2面幅10mmのソケットを使い、バッテリーの手前にあるボルトを緩めることで取り外しが出来ます。
ソケットはディープソケットを使用します。
ボルトを緩めるとバッテリーを固定しているブラケットが外せます。上に引き上げると取り外せます。
取り外した後のバッテリー固定ブラケットが以下です。
バッテリー固定ブラケットの裏面はこのようになっています。
サージプロテクター取り付け
バックアップ電源を接続する前に、サージプロテクターを取り付けます。サージとは異常に高い電圧が瞬間的に発生する現象のことで、この異常電圧によりBMW・MINIの場合、FRMなどのコンピューターが故障します。
サージプロテクターの接続はプラスターミナル、マイナスターミナルの順に接続します。
サージプロテクター本体に設定されている回路確認の緑色LEDが点灯していることを確認します。また、本体はマスキングテープ等を使用してフロントガラスに固定しておくとバッテリー交換の際に邪魔になりません。
サージプロテクターはバッテリー交換時やブースターケーブル接続時に発生する高電圧スパーク(サージ)を吸収し車両の電子機器を保護してくれます。コンピューターが故障すると軽く10万円コースになってしまうのでこの商品は非常におすすめです。
バックアップ電源の接続
バッテリー脱着時にも車両へ電気を供給するためにバックアップ電源を接続します。
バックアップ電源の電圧設定は事前に測定したバッテリー電圧に合わせて接続します。(バッテリーとバックアップ電源間の電位差が大きいとサージが発生するため)
バッテリーターミナル取り外し&養生
バッテリーターミナルの固定ナットを2面幅10mmのソケットレンチ等を使用して緩めてターミナルを取り外します。取り外した後はボディにターミナルが触れないように絶縁タイプの手袋等を使い養生します。
マイナスターミナル側も念の為、養生しておきます。
バッテリー交換時にはターミナルが隠れるように手袋を被せておくとより安心です。
バッテリー排気ホース取り外し
バッテリーに接続されている排気ホースを指で引き抜きます。
バッテリー摘出
バッテリーを車両から摘出します。バッテリーターミナルや配線に注意しながら慎重に持ち上げましょう。重量が重く、取り付け位置が奥にあり作業姿勢が非常に悪いです。
バッテリーを取り外した後の状態です。新しいバッテリーを取り付ける前に清掃しておきましょう。
新バッテリーの準備
バッテリーには左右どちらにも排気ホースを接続できるように接続用の穴が空いています。
片側は使用しませんので、使用しない側の排気ホースにはターミナルカバーに取り付けられている排気ホースのキャップを外して取り付けましょう。
新バッテリーの搭載
車両配線に注意しながら車両に新しいバッテリーを搭載します。
排気ホースの取り付け
新しいバッテリーに車両側から出ている排気ホースを忘れずに接続します。
バッテリーターミナルの固定
バッテリーターミナルを新しいバッテリーにセットしましたら、バックアップ電源とサージプロテクターを取り外し、ターミナルを固定ナットで固定します。バッテリーターミナルの固定ナットの締め付けトルク値はプラス側、マイナス側共に5N・mです。締め過ぎにならないようにトルクレンチを使用して管理しましょう。
バッテリー固定ブラケットの取り付け
バッテリー固定ブラケットを取り付けます。固定ブラケットはバッテリーの溝部分に嵌るような形状になっておりますのでバッテリーの位置を合わせて固定しましょう。
ボルトを締め付けて固定します。固定ボルトの締め付けトルク値は6N・mです。
後は、バッテリー交換に併せて取り外した部品を復元すれば交換作業は完了です。
バッテリーの登録・記録 紹介
サージプロテクター・バックアップ電源の接続
バッテリー交換作業が完了しましたら、BMW・MINIの純正診断機であるISTA(イスタ)を使用してバッテリーの登録・記録(レジストレーション)を行います。登録・記録作業にはバックアップ電源があると診断時の低電圧による不具合を未然に防げますのでバックアップ電源を接続します。バックアップ電源の接続はサージプロテクターを取付後に行います。
BMW・MINI純正診断機 ISTA+を起動する
ISTAを起動した後に、”ジョブ”→”新”→”車両データ読み出し”を選択します。
iCOMと車両を接続する
OBD IIコネクターにiCOMを接続します
iCOMはLANケーブルでPCと接続されています。
車両データ読み出し(車両テスト)
接続が完了しましたら、エンジン停止で、イグニッションオン(エンジンマークが点灯した状態)状態にして、右下にある”完全な識別”を選択します。
バッテリー交換の記録・登録
車両テストが実施され、結果が反映されます。次に”車両処理”→”サービス機能”→”サービス機能”→”ボディ”を選択します。
さらに”電源供給”→”バッテリー”を選択し”バッテリー交換を記録する”を選択します。
前回のバッテリー交換時の走行距離(21,240km)が確認出来ます。
バッテリー交換を記録できましたら、今回交換時の走行距離(65,940km)が自動で反映されます。以上で作業は完了です。
ちなみに走行距離計の数値は65,949kmであり0キロ台は切り捨てされます。ご参考までに。
最後に
いかがだったでしょうか。とても長い記事になってしまいましたが最後まで読んでいただけると、BMW・MINIのバッテリー交換作業について全ての流れが把握できたかと思います。国産車と比較しても目的のバッテリーに到達するまでのプロセスも多く、手順も複雑です。またバッテリー交換後の記録も本来のバッテリー性能を活かすためには必要不可欠な手順となります。この記事を参考にしていただき、バッテリーの交換作業自体はオーナー自身で実施し、バッテリー交換後の記録についてはディーラーに依頼するのが賢明かと思います。
また、バッテリー交換以外の作業についても徹底解説した記事を書いています。併せてご覧ください。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。車いじりの参考になれば幸いです。コメントやお問合せもお待ちしております。コメントは記事の最下段にある【コメントを書き込む】までお願いします。また、YouTubeも公開しています。併せてご覧頂き、”チャンネル登録”、”高評価”もよろしくお願いいたします。YouTubeリンクはこちら
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