はじめに
インターネットの普及により有益な情報が一昔前よりは簡単に入手できるようになりました。しかしながら、欲しい情報の核心的な部分は公開されておらず、肝心な部分が分からない事も多いです。
国産車は以下の方法により整備要領書が確認出来ます。
・オーナー自らが正規ディーラーで購入や問い合わせする
しかしながら、内容を確認出来たとしても整備要領書は一般ユーザーにとっては馴染みが無く、読み取り方法も独特で理解しづらいです。
そこで今回は、ミッションオイル交換方法について日産 マーチ K13改 NISMO Sを用いて自動車整備士である私が誰でも理解しやすいように実車の写真を交えながら徹底的に解説します。
ミッションオイルの交換は”ドレンから抜いてフィラーから入れるだけ“ですので、同じ車種をお乗りのオーナーはもちろん、これからミッションオイルを交換したい!と検討されているオーナーにとっても有料級の情報になると思います。
さらに、ミッションオイルやデフオイルを交換する際の鉄則についても併せて解説していますので是非とも最後までご覧ください。この記事をご覧になりご自身でミッションオイルの交換に挑戦される方が一人でも増えれば幸いです。
車両情報
・車名:ニッサン
・型式:DBA-K13改
・原動機の型式:HR15
・総排気量又は定格出力:1498cc
・初度登録年月:2016年(平成28年)9月
・NISMO仕様
なお、この車両にはNISMO製のLSDを搭載しておりますので、今回はLSD OILを交換します。
購入部品
今回は以下の商品を準備しました。順に解説します。
ミッションオイル
・商品名:LSD OIL
・粘度:API/GL5 80W−90
・数量:3缶(1回の使用量:約2.6L)
また、オイルは少量ずつ購入するよりもペール缶で20Lを一度に購入した方がより安く購入できます。交換頻度も3,000km毎と短いのでペール缶での購入がおすすめです。
さらに高性能なオイルを選びたい!というオーナーの方にはBILLIONがおすすめです。チャタリング(異音)の発生もより抑えてくれます。
ポイパック(廃油処理箱)
廃油の処理にはポイパックがオススメです。マーチK13改のミッションオイル量は約2.6Lですので今回は4.5Lタイプを準備しました。
灯油ポンプ(サクションガンの代用)
通常、ミッションオイルやデフオイルを重力に逆らって注入するにはオイルサクションガンを使用するのが一般的ですが、今回は灯油ポンプ(正式名称:醤油ちゅるちゅる)を使ってミッションオイルを注入します。
ドレンプラグソケット
今回のミッションオイル交換作業において無くてはならない工具の一つが”二面幅8mmのドレンプラグソケット”です。ドレンプラグが特殊な四角形タイプになっていますので、事前に準備が必須です。
寸法を測定した写真が以下です。
・型番:AP090389
・名称:ドレンプラグソケット 3/8inch (9.5sq.)8mm
また、良い工具を長く使いたいという方にはこの工具がオススメです。
ガスケット(再使用不可部品)
このマニュアルミッションはルノーと共用ということもあり欧州車によく使用されているタイプのガスケットが部品設定されています。
ガスケットの寸法について徹底解説します。こちらが車両から取り外した使用済みの変形したガスケット寸法です。
こちらが変形する前の新品の状態の寸法です。
ミッションオイルやデフオイルを交換する際の鉄則
ミッションオイルやデフオイルを交換する際の鉄則は一つだけです。
理由は単純ですが、ドレンプラグを緩めてオイルを排出した後にフィラープラグが緩まなかった場合、新油が注入できず走行不能に陥るからです。単純ですがとても大切ですので徹底して作業しましょう。
作業紹介
車両をリフトアップ
ミッションオイルを交換する際には車両をリフトアップする必要があります。2柱リフトやフロアジャッキ、シザーズジャッキ、パンタグラフジャッキ等を使用して車両をリフトアップします。
一般的にはフロアジャッキと馬を使用し、車両をジャッキアップします。ジャッキアップについてはこちらの記事をご覧ください。安全なジャッキアップ方法について徹底解説しています。
フィラープラグ・ドレンプラグの位置確認
車両を前方から見た写真が以下です。
フィラープラグ(新油を車両に注入する側)、ドレンプラグ(オイルを車両から排出する側)は以下の位置にあります。
フィラープラグ取り外し
鉄則でも解説した通り、フィラープラグから先に取り外します。取り外しは指の力で蝶ネジ部分を摘んで回すことでフィラープラグを緩めることができます。
固着しており、指の力だけでは緩められない!という方はウォーターポンププライヤー等を使用して緩めましょう。
フィラープラグの清掃・寸法測定
車両に取り付ける前に清掃しておきましょう。整備要領書には黒色のガスケットは再使用不可と指示されていますが、劣化がなければある程度の回数は再使用出来ます。自己判断で使用願います。
ドレンプラグ取り外し
二面幅8mmのドレンプラグソケットを使用してドレンプラグを緩めます。今回は汚れても良い工具としてKTCのスピンナーハンドル BS3E-Sを使用しました。
実際のドレンプラグ取り外し動画は以下のYouTubeを参考にご覧ください。
ドレンプラグに新しいガスケットをセットして車両に組付
取り外したドレンプラグを毛羽立ちの少ないショップタオル等で清掃し、新しいガスケットをセットします。新しいガスケットには向きがありますので注意が必要です。
なお、私が愛用しているショップタオルは以下の商品です。給水力が抜群です。
ドレンボルトをトルクレンチで締め付け
ドレンボルトを規定トルクの22N・mで締め付けます。締め付けにはトルクレンチを使用します。
トルク?という方はまずはこちらの記事をご覧ください。自動車整備においてトルク管理は非常に重要です。
さらにトルクレンチおすすめ記事も書いています。参考にしていただければ幸いです。
ミッションオイル注入
ミッションオイルを灯油ポンプを使用してミッションに注入します。灯油ポンプはそのままでも使えますがチューブを以下の位置で塩ビカッター等でカットするとより注入しやすくなります。
フィラープラグの位置から新油を注入します。ミッションオイルはフィラーから溢れ出てくるまで注入します。
フィラープラグ取付
フィラープラグを指の力で締め付け、ショップタオルで車両を清掃すれば作業は完了です。
使用工具一覧
以下の写真以外にもKTCのスピンナーハンドルを使用しました。私が作業時に毎回愛用している作業灯 GENTOS COB LED WORK LIGHT GZ-203MGは車両の金属部分にマグネットで固定が出来ますので下回りの作業にもオススメです。
最後に
いかがだったでしょうか。作業としてはミッションオイルの交換は”ドレンから抜いてフィラーから入れるだけ“ですので、非常に簡単です。しかし、重力に逆らってオイルを入れる必要がありますので敷居が高く感じますが、日常生活の中に溢れている灯油ポンプなどの便利グッズを流用することで誰でも簡単に楽に作業が出来ます。オーナー自らが作業することで本来払うべきの交換工賃で必要な工具を購入することも出来ますので、節約にも繋がります。なお、見えないところは徹底的に手を抜く業者も世の中にはいますので作業を外注せず愛車のメンテナンスをご自身でされてみてはいかがでしょうか。
ミッションオイル交換以外にもたくさんの整備記事を記載しています。是非ともご覧くださいませ。
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