自動車整備士が教えるリア ブレーキローター・パッド・センサー交換 ミニ クロスオーバー R60で徹底解説

ブレーキローター Crossover R60

はじめに

前回の記事でブレーキパッドが摩耗している際のブレーキ警告灯の点灯パターンや対処法、交換に向けて準備した部品等について紹介しました。今回は交換作業について実車の写真を交えながら順に解説していきます。ここまで細かく記載した記事は他にはないと思います。車いじりの参考になれば幸いです。ぜひ最後までご覧ください。

BMW MINI CROSSOVER COOPER S R60のその他の整備記事はこちら↓

車両情報

・車名:BMW
・車台番号:WMWZC32080WN*****
・型式:DBA-ZC16
・原動機の型式:N18B16A
・総排気量又は定格出力:1.59L
・ボディカラー:ライトホワイト(B15)
・モデルイヤー:前期2011年1月〜2014年8月
・初度登録年月:2013年(平成25年)3月18日

交換作業

では順番に紹介していきます。

タイヤ取り外し

まずはリアタイヤを取り外します。タイヤを取り外す際は欧州車の場合、ボルトを全て外すとタイヤが落ちてきますので”ホイールガイドボルト”を使用して取り外しされることをオススメします。
ちなみに私が使用している商品はASTROPRODUCTSのAP071329 (M14×1.25)です。

MINI CROSSOVER R60 タイヤ取り外し

下記の商品リンクはストレートのホイールセッティングボルトです。同様に使用できます。

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M14×P1.5のタイプもあります。ご自身の車種をお確かめください。

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また、タイヤを取り外した際はタイヤの溝の深さや釘などの異物が刺さっていないかなども併せて点検しましょう。タイヤの溝が1.6mm以下になっていると車検は通りません。以下のリンク先をご覧いただき、安くタイヤを交換しましょう。

交換前の現状確認

パッドが摩耗していることはもちろんでしたが、ディスクローターも耳が出て摩耗限界を超えていました。パッドと同時にローターも併せて交換していきます。

MINI CROSSOVER R60 タイヤ取り外し後

また、ブレーキダストもすごい量でした。欧州車はブレーキパッドと共にローターも摩耗しますのでダストの量がさらに多くなります。ガレージの場合、床が汚れますので段ボール等を敷いて作業することをおすすめします。

MINI CROSSOVER R60 パッドセンサー

シリンダーボディのスライドピンボルトを緩めてブレーキパッドを外し、パッドセンサーの摩耗状態を確認します。ブレーキパッドが摩耗してセンサーと同じ高さになるとセンサー側も一緒に削れて導通が無くなるようになっています。よく考えられた構造です。

MINI CROSSOVER R60 パッドセンサー摩耗状態

トルクメンバー取り外し

ローターを取り外すにはシリンダーボディを外し、トルクメンバーを取り外す必要があります。MINI CROSSOVER R60のトルクメンバーはトルクスのボルトで固定されているのでE型トルクスレンチが必要になります。事前に準備が必要です。

MINI CROSSOVER R60 トルクメンバー

上下の2本のボルトを緩めて、トルクメンバーを取り外します。PKBワイヤー等が邪魔になるのである程度の長さのエクステンションも併せて必要です。

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ローター取り外し

ローターは6mmの六角ボルトで固定されていますのでHEXレンチを使用して緩めます。

MINI CROSSOVER R60 ローター固定ボルト

六角ボルトの取り外しはエアインパクト等でも緩めれますが、取付時はローターがクルクルと回ってしまいますので以下の写真のように回り止めをしてしっかりと締め付けます。

MINI CROSSOVER R60 ローター固定ボルト取付取り外し

六角ボルトを緩めても車両によってはローターが張り付いて外れない車両もあります。この車両もガッツリ張り付いていて全く外れませんでした。ローターの後ろ側から樹脂ハンマーもしくは銅ハンマーで叩くとすんなりと外れます。

MINI CROSSOVER R60 ローター取り外し
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ハンマーで叩いた時にローターが床に落下しないようにガイドボルトで保持することをオススメします。

MINI CROSSOVER R60 ローター取り外し

ピストン戻し

新しいブレーキパッドを取り付けるには飛び出たピストンを押し戻す必要があります。ピストンを戻す際は、専用工具を用いて時計回りに回しながらネジ込んでいきます。ゴムがよじれますのでゆっくりと回し、先端の丸いマイナスドライバー等でゴム内部のエアを出しながらやるとうまく出来ます。

MINI CROSSOVER R60 ピストン戻し
専用工具の突起をピストンの溝に合わせます
MINI CROSSOVER R60 ピストン戻し
ピストンに専用工具を押し当てならが回していきます
MINI CROSSOVER R60 ピストン戻し
ピストンを戻す前にゴムブーツを清掃するとやりやすいです
MINI CROSSOVER R60 ピストン戻し
ピストン戻し後
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組み付け前の清掃作業

パッドセンサーを新品に交換し、パッドリテーナーを洗浄・グリスアップし取り付けていきます。ローターを取り付ける前にブレーキダスト汚れや錆を落とすと良いです。

MINI CROSSOVER R60 パッドリテーナー洗浄
時間を掛けて徹底的に清掃するも良しです
MINI CROSSOVER R60 ハブ洗浄
取付面の錆もしっかりと落とします

復元作業

取付時は締め付けトルクを遵守して取付を行います。

・ブレーキローター&ホイールハブ固定六角ボルト(Brake disc to wheel hub M8×14):16N・m
・トルクメンバー固定ボルト(Brake caliper to wheel carrier M12 x 30):100N・m
・スライドピンボルト(ガイドネジ):34N・m
・ホイールボルト:140±10N・m

MINI CROSSOVER R60 交換後
交換後の写真です

反対側の作業も同時タイミングでの実施が必要です。焦らず慎重な作業を心掛けましょう。

最後に

ブレーキの作業は法律においても”分解整備”に該当するため、自動車整備士の資格が必要です。ただし、オーナーが自分の所有物を分解整備する際は法律違反には該当しません。よって、正しい知識と工具、環境を整えれば分解整備も可能です。自分の車をより詳しく知ることでさらに愛着も増します。工賃を払う代わりに工具も買えて、特別な達成感も味わえますのでおすすめです。

MINIの場合は作業後のCBS項目のリセットも必要です。この記事を参考にどうぞ↓

最後までご覧頂き、ありがとうございました。車いじりの参考になれば幸いです。コメントやお問合せもお待ちしております。コメントは記事の最下段にある【コメントを書き込む】までお願いします。また、YouTubeも公開しています。併せてご覧頂き、”チャンネル登録”、”高評価”もよろしくお願いいたします。YouTubeリンクはこちら



Crossover R60
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