自動車整備士が教えるアッパーアーム&トーコントロールロット取付 S15 シルビアで徹底解説

S15 Silvia

はじめに

NISSAN GF-S15 シルビアにはキャンバーを調整するための機構(偏心ボルト)が標準で採用されており、リヤアッパーリンクやラテラルリンクの出代を調整することが可能です。しかし、その調整範囲は非常に【狭い】です。車高調などで車高を標準高より下げた車両の場合はその調整範囲では調整し切れずマイナス(ネガティブ)側のままになってしまい、結果としてタイヤが偏摩耗(片減り)してしまいます。

そこで、標準では調整し切れないマイナス(ネガティブ)側のキャンバーを調整可能にするのが今回交換する社外メーカー製のアッパーアーム&トーコントロールロットです。

今回はS15 シルビアに上記のアッパーアーム&トーコントロールロットを取り付ける方法について徹解説します。同じS15シルビアにお乗りの方はもちろんのこと、その他のスポーツカーにお乗りの方にとってもとても有益な情報になるかと思います。車いじりの参考になれば幸いです。

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購入部品

今回購入したアッパーアーム&トーコントロールロットはCUSCO製の製品です。CUSCO製にした一番の理由は『強度試験成績書』が付属しているためです。この書類がないとスムースに『構造変更申請』が出来ません。緩衝装置を社外製に交換した場合は構造変更申請が必須になりますので注意が必要です。

今回も新品部品を購入するか中古品にするか悩みましたが、足回り部品は見栄えよりも機能性が重視なので今回も中古部品を採用しました。

・メーカー名:CUSCO
・部品番号:222 474 L
・部品名称:リア用・調整式 アッパーアーム

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・メーカー名:CUSCO
・部品番号:222 474 E
・部品名称:リア用・調整式 トーコントロールロット

今回交換するCUSCOの製品と純正部品の比較をした写真が以下です。中古部品ですので取付前の清掃やねじ部分の点検・ねじ山修正等は必須です。



作業紹介(純正部品取り外し)

まずはリヤアッパーリンクから取り外します。赤丸のナットを12.7sq.のソケットレンチやメガネレンチ等を使用して緩めます。

緩めた後の写真が以下です。

固着したボルト・ナットをスムースに緩めるには浸透潤滑剤があれば作業効率が上がります。

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次にリヤアッパーリンクの奥側のナットを緩めます。このボルト・ナットは偏心ボルトになっておりワッシャー・ボルト共にキー溝が掘られています。よって、必ずナット側を緩めます

以下の写真のようにメガネレンチをセットしてナット側を緩めます。この写真ではナット側はロングストレートのメガネレンチが掛かっている側になります。

次にラテラルリンクのナットを緩めます。

以下の写真のように工具を掛けて緩めます。

同様にラテラルリンクの奥側のナットを緩めます。こちらのボルト・ナットも偏心ボルトになっておりますので赤丸のナット側を緩めます



偏心ボルトとは

ここで偏心ボルトについて簡単に紹介します。偏心ボルトの取付位置を調整することでリヤアッパーリンクやラテラルリンクの出代を調整できます。調整範囲は狭いですが、マイナス(ネガティブ)側にもプラス(ポジティブ)側にも調整が可能です。

ワッシャーにもボルトにも溝がありボルトの頭とワッシャーは常に同じ位置で回転しながら動くことになります。よって緩める際は必ず固定されていないナット側を緩めないと溝がダメになってしまいます。(ナットとワッシャーが固定されている状態でボルトを回すと溝が潰れてしまいます)

前オーナーがボルト側を回しており山が潰れていました
しっかり修正してボルトは再利用しました



作業紹介(社外部品取付)

取付に際して注意する点は2点です。1点目は純正のリンクと同じ長さにしてから車両に取り付けることです。キャンバーの調整やトーインの調整は車両に取り付けした後で実施します。

2点目は取付トルク値です。各部位の取付トルクは以下の通りです。トルクレンチを使用して締め付けます。

・リヤアッパーリンク手前側締め付けトルク値:78.0〜98.0N・m

・リヤアッパーリンク奥側(偏心ボルト・ナット側)締め付けトルク値:69.0〜88.0N・m

・ラテラルリンク手前側締め付けトルク値:78.0〜98.0N・m

・ラテラルリンク奥側(偏心ボルト・ナット側)締め付けトルク値:69.0〜88.0N・m

足回りのトルク保証にはこの工具がオススメです。

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トルク??と言う方はこちらの記事も併せて読むと理解が深まります。



商品取付後レビュー

車両の後ろ側から見るとこのような状態です。青い部品が車両に付くだけでかなりスポーティに見えます。

アッパーアームとトーコントロールロットを取付後、再度アライメント調整に出しました。その結果が以下の通りです。純正では調整範囲を超えていたリヤキャンバーは左:-3°30’ → -1°28’、右:-3°21’ → −1°25′といづれも規格内に収まりました。リヤタイヤの片減りも改善されリヤタイヤも長持ちするようになりました!アライメント調整も含めて結果は大満足の内容になりました。

最後までご覧頂き、ありがとうございました。車いじりの参考になれば幸いです。コメントやお問合せもお待ちしております。コメントは記事の最下段にある【コメントを書き込む】までお願いします。また、YouTubeも公開しています。併せてご覧頂き、”チャンネル登録”、”高評価”もよろしくお願いいたします。YouTubeリンクはこちら



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