自動車整備士が教える電源の取り出し場所 徹底解説

整備ノウハウ

はじめに

電気に関わる自動車整備やカスタマイズをするには自動車の電気について詳しく理解する必要があります。そこで今回は第二種電気工事士資格と自動車整備資格を持つ私が、【自動車における電源の取り出し場所】について実車の写真を用いて徹底解説します。原理原則を正しく理解することで、後々の故障探求にも活かせます。是非とも最後までご覧いただき車いじりの参考にしていただければ幸いです。

自動車の電気がわかるとこんな事が出来る様になります

ETC車載器の取付やドライブレコーダー、ナビゲーション、セキュリティなど取り付けできる製品は多岐に渡ります。

詳細については過去記事でも解説しております。併せてご覧ください。

自動車における電源の取り出し場所

社外の電装品(ETC、ドライブレコーダー、LEDランプ等)を取り付ける際に、電源の取り出し場所は主に6箇所あります。順に解説します。

①バッテリー

定番中の定番、車載バッテリー(鉛蓄電池)から電源を取る方法です。

・取れる電気の種類:BAT(常時電源)
・どんな時に電気が流れるか:常に12Vが流れ続ける
・特徴:大容量の電源が得られる、”バッテリーターミナルに繋ぐだけ”と配線が容易
バッテリーからの電源供給の例

②シガーライター(シガープラグ)

昔はタバコに火をつける目的で設定されていたが、現在ではカー用品の電源供給目的が主。車種によっては取れる電気の種類がBAT(常時電源)の場合もあるため取り付け前の確認が必要です。

・取れる電気の種類:ACC(アクセサリー電源)
・どんな時に電気が流れるか:キーの位置がACCの時に12Vが流れる
・特長:ソケット差し込みにより簡単に電源が得られるが、大容量の電源は取得出来ない。
シガーライター(シガープラグ)の例
シガーライター裏のコネクターから分岐
一番手前が分岐したシガーライター

③ヒューズボックス

ヒューズボックスは運転席の前側の右下にあることが多いが、車種によって異なることもあるため確認が必要です。

・取れる電気の種類:BAT、ACC、IGN(イグニッション電源)
・どんな時に電気が流れるか(IGN):キーの位置がIGNの時に12Vが流れる
・特徴:様々な種類の電源が得られるが、何らかの不具合により過電流が流れてヒューズが
    溶断されると、そのヒューズに割り当てられていた本来の機能が動作しなくなる。
ヒューズボックスのカバー裏側
ヒューズボックスの位置
ヒューズからの電源取り出し例

④カーオーディオ裏側

内装部品の取り外しが必要となるが、配線の処理がしやすく、比較的大容量の後付け部品も取り付け可能。

・取れる電気の種類:BAT、ACC、ILL(イルミネーション電源)
・どんな時に電気が流れるか(ILL):ライトONの状態で12Vが流れる
・特徴:インストセンター等の内装部品の取り外しが必要となるが、
    1箇所で同時に違う種類の電源が得られる
ナビゲーションの裏側から電気が取れます
配線の収納スペースも多いです
誤配線に気をつけながら接続が必須

⑤イグニッションスイッチ部コネクター

・取れる電気の種類:ACC、IGN、ST(スターター)
・特徴:電源を得るまでにステアリング(ハンドル)カバー等の内装部品の取り外しが
    必要となるが、1箇所で同時に違う種類の電源が得られる
イグニッションスイッチ(キースイッチ)の写真
キーシリンダー
キーシリンダーの裏側にあるコネクター
イグニッションスイッチコネクター
コネクターから分岐配線の例

⑥純正配線の割り込み

各種の信号線の取り出しなどの際には純正配線の割り込みを多用します。写真の例はブレーキスイッチ信号の取り出しの際に純正配線に割り込み(純正配線の分岐)しています。

・取れる電気の種類:純正配線に割り当てられている電気の種類全て
・特徴:純正電装品のプラス(+)側配線から分岐させることで電源の取り出しも可能
ブレーキスイッチ信号線
純正配線を分岐させて信号取り出し

最後に

いかがだったでしょうか。電源を取り出すにも様々な方法があり、慣れるまではなかなか難しいですが実作業を進めていく中でさらに理解が深まると思います。この記事をご覧頂いた方に向けて次のステップとしてヒューズについて徹底解説した記事を用意しております。併せてご覧ください。

最後までご覧頂き、ありがとうございました。車いじりの参考になれば幸いです。コメントやお問合せもお待ちしております。コメントは記事の最下段にある【コメントを書き込む】までお願いします。また、YouTubeも公開しています。併せてご覧頂き、”チャンネル登録”、”高評価”もよろしくお願いいたします。YouTubeリンクはこちら



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