はじめに
インターネットの普及により有益な情報が一昔前よりは簡単に入手できるようになりました。しかしながら、欲しい情報の核心的な部分は公開されていない事も多く、肝心な部分が分からない事もよくあります。
国産車は日本自動車整備振興会連合会が会員向けに提供しているFAINES(ファイネス)やオーナー自らが正規ディーラーで購入や問い合わせすることで、整備要領書が確認出来ますが、一般ユーザーにとってはなかなか馴染みが無く、読み取り方法も独特で理解しづらいと思います。
そこで今回は、純正ハイビームのLED化について日産 R35 GTRを用いて徹底的に解説します。作業におけるカンコツや、使用した工具について実際の作業写真を交えて解説します。
同じ車種をお乗りのオーナーはもちろん、これからライト類を交換しようと検討されているオーナーにとっても有益な情報になると思います。この記事をご覧になりご自身でハイビームのLED化に挑戦される方が一人でも増えれば幸いです。
車両情報
・車名:ニッサン
・車台番号:R35-******
・型式:CBA-R35
・原動機の型式:VR38
・総排気量又は定格出力:3.79L
・初度登録年月:2009年(平成21年)12月
R35 GTR 純正のハイビームバルブはPHILIPS H9 12V 65W
ハイビームのLED化の解説に入る前に純正のR35 GTRのハイビームバルブについて解説します。R35 GTRのハイビームにはPHILIPS H9 12V 65Wが採用されています。
純正バルブの全体写真は以下です。
この記事ではハイビームのLED化について徹底解説していきますが、バルブの球切れについても作業内容は全く同じですのでバルブ交換について知りたい!という方にとっても参考になると思います。
購入部品
今回用意したLEDバルブはPIAA ヘッド&フォグ用LEDバルブ 6000K LEH182です。この商品は最新鋭コントローラーレスタイプで純正バルブと同形状、超小型バルブで車検対応品です。また、メーカー3年保証が付属しているため、とても安心できる商品です。
作業紹介(ハイビーム LED化)
通常の車両であればハイビームのバルブ交換はエンジンルーム内から手を伸ばして簡単にバルブ交換が出来たり、フロントタイヤをハンドルを切った状態にした上でフェンダープロテクターの一部を取り外してバルブ交換が出来たりしますが、なんとR35 GTRのバルブ交換にはフロントタイヤ・フェンダープロテクターの取り外しが必須です。取り外しをせずに交換が絶対にできないかと言われるとそうではないかもしれませんが明らかに作業スペースが狭く作業性が悪いです。R35 GTRは走りを追求した車両のため、作業性は非常に悪いです。よって潔く上記2部品を取り外した上で交換を進めます。
ホイールナット緩め
インパクトレンチを使用しない場合は、ジャッキアップ前にタイヤが接地した状態でホイールナットを先に軽く緩めておきます。インパクトレンチを使用する場合はジャッキアップ後でもホイールナットを緩めることができます。
作業スペースの確保
2柱リフトやフロアジャッキ&馬等を使用し、車両をリフトアップします。フロアジャッキ&馬を使用したジャッキアップについてはこちらの記事をご覧ください。安全なジャッキアップ方法について解説しています。
また、フロアジャッキ&馬を使用して車両をリフトアップする際にはクリーパー(寝板)も同時に使用するとさらに安全性が向上します。オススメのクリーパー(寝板) についてはこちらの記事をご覧ください。
ジャッキアップが出来ましたら、ホイールを取り外します。
運転席側フェンダープロテクター取り外し
運転席側のフェンダープロテクターを取り外します。フェンダープロテクターはクリップ13個、ビス1箇所で車両に固定されています。クリップの取り外しにはKTCのクリップクランププライヤー AP202Dがあると簡単に取り外しできます。
上部のビス1箇所はスタッビードライバーを使用してビスを緩めます。
取り外したフェンダープロテクターは以下です。
ハイビーム バルブ交換前準備
フェンダープロテクターを取り外した後の車両の写真が以下です。手前側に見えている防水カバーはロービーム用であり、目的のハイビーム側の防水カバーはさらに左奥に隠れています。
ハイビームの防水カバーの下にあるハーネスを固定しているビルトインクリップを外します。
取り外した後の状態が以下の写真です。
コネクター(灰色)を取り外します。取り外しにはMERRY カップリングツール HS175Cがあると簡単にコネクターが外せます。
下側のコネクター(黒色)も同様に取り外します。
ハーネスを固定しているブラケットのビス2本を緩めてブラケットを車両から取り外します。
ブラケットを取り外すとハーネスが自由に動くようになり防水カバーにアクセス出来るようになります。
これが今回の目的であるハイビームバルブが内部に組み込まれている防水カバーです。
防水カバー取り外し・LEDバルブ取り付け
防水カバーの取り外しは防水カバーに刻印されているようにOPEN(反時計回り)の方向に手で回すと外せます。防水カバーを取り外すと純正のバルブが出現します。
純正バルブの取り外しも防水カバーと同様に反時計回りにバルブを回して外します。バルブが外せましたらコネクターを取り外してバルブを摘出します。
次に購入したバルブを車両に仮組みし、LEDバルブ先端の位置を確認します。
LEDバルブ 発光部の位置調整方法
購入したバルブを車両に仮組みした状態でLEDバルブ先端の発光部の位置をヘッドランプ側から確認します。写真のように発光部の位置がずれている場合は回転させて微調整します。LEDバルブの発光部はリフレクター又はプロジェクターに対して真横を向くように調整します。
微調整はLEDバルブに設定されている六角ネジ(イモネジ)を半回転〜1回転緩めてLEDバルブ先端の発光部の位置を回転させて調整します。
六角ネジの調整には付属の六角レンチを使用します。
位置が正しく決まるまで何度も繰り返し調整します。
先端位置の調整が完了しましたらいよいよ車両に取り付けます。LEDバルブにコネクターを結線し、車両へ取り付けます。
LEDバルブが車両に対して水平に差し込まれていることを確認し、時計回りに回転させLEDバルブを固定します。
LEDバルブが固定出来ましたら、防水カバーを取り付けます。取り付けは時計回りに回転させながら固定します。
復元前の点灯確認
フェンダープロテクターを取り付ける前に点灯確認を行います。問題なく点灯することが確認出来ましたら復元作業に入ります。
復元・フェンダープロテクター取り付け
点灯確認が完了しましたら、取り外した部品を全て組み付け、フェンダープロテクターを取り付けます。その際、クリップは再使用せず新品に交換するとさらに安心感が増します。
ウィンドウォッシャータンク固定クリップ1箇所取り外し
助手席側のLEDバルブ交換にはウィンドウォッシャータンクを固定しているクリップ1箇所を先に外しておきます。
このクリップを取り外さずにLEDバルブ交換作業に入るとウォッシャータンクが邪魔になりLEDバルブ交換が出来ません。
助手席側フェンダープロテクター取り外し
運転席側と同様にクリップを取り外し、フェンダープロテクターを取り外します。
取り外し方法は運転席側と同じです。
取り外した助手席側のフェンダープロテクターです。
ハイビームバルブ交換前準備
運転席側と異なる点は1点です。ハイビームの防水カバーがウォッシャータンクのさらに奥側にあり、ウォッシャータンクを取り外さないと防水カバーにアクセスできません。
ウォッシャータンクは分割式になっており、タンクに繋がっている部分を切り離すことが出来ます。
ウォッシャータンクのさらに奥側にハイビームの防水カバーがあります。
フェンダープロテクター側から見上げた位置に先程取り外したウォッシャータンクのクリップ部分があります。クリップを先に外しておくと上方向にウォッシャータンクを動かすことが出来ます。
ウォッシャータンクの切り離しはこの位置から行います。
ウォッシャータンクを分割すると以下の状態になります。この状態でようやくハイビームの防水カバーが外せます。
ここからの交換方法は運転席側と同様ですので割愛します。
助手席側LEDバルブ交換
運転席側と同様の手順で交換を進めます。
LEDバルブ交換後の写真です。
防水キャップ、コネクターを接続し、点灯確認に進みます。
無事に点灯確認が完了しましたら、復元して完成です。
ちなみに、ホイールナットの締め付けにはトルクレンチを使用して確実なトルク管理をしましょう。トルクについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
また、おすすめのトルクレンチについてはこちらの記事をご覧ください。
最後に
いかがだったでしょうか。ハイビームのLED化は作業自体は単純ですが、R35 GTRの場合は整備性が悪く付帯部品の取り付けが必須なため、作業工数が余分に掛かります。ショップに頼むとR35 GTR特別料金を取られることもありますので注意が必要です。
是非ともこのホームページをご覧いただき、ご自身で交換される方が一人でも増えれば幸いです。
今回の作業以外にもたくさんの整備ノウハウを公開しています。是非ご覧くださいませ。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。車いじりの参考になれば幸いです。コメントやお問合せもお待ちしております。コメントは記事の最下段にある【コメントを書き込む】までお願いします。また、YouTubeも公開しています。併せてご覧頂き、”チャンネル登録”、”高評価”もよろしくお願いいたします。YouTubeリンクはこちら
コメント