はじめに
高年式の車に乗っているオーナー共通の悩みである”エンジンからのオイル漏れ”についてS15 シルビアを使い、修理方法について徹底解説します。ヘッドカバー(S15 シルビアでは正式名称はロッカーカバー)ガスケットの交換方法について具体的なイメージが湧くことでご自身での交換可否判断にも活かせれれば幸いです。
修理前のオイル漏れの状態や修理に伴い購入した部品について記載した記事はこちら↓
また、NISSAN GF-S15 シルビアのその他の整備記事はこちら↓
作業紹介
ホース類の取り外し
S15 シルビアではヘッドカバーを取り外す際には付帯作業としてエンジン中央に取り付けてあるオーナメント、イグニッションコイル、スパークプラグ、ハーネスビルトインクリップ、ホース類の取り外しが必要となります。順に解説していきます。まずはエンジンのヘッドカバー全体の写真がこちらです。
次に下図の1〜4を取り外します。
1:ホースバンドをずらしてブローバイホースとブローバイコントロールバルブ間でホースを外す
2:ホースバンドをずらしてブローバイホースを外す
3:ホースバンドをずらしてエアホースを外す
4:ホースバンドをソケットレンチ等で緩めてエアダクトを取り外す
ホースバンドの取り外しにはKnipexのコブラを使用しました。適度な角度と強力なアゴが人気で愛用している整備士も多数です。
1〜4の取り外しが終わればマスキングテープを使用して養生し”ゴミの混入”を未然に防ぎます。また、マスキングテープを貼ることにより、外したホースが目立つことで取付忘れを防ぐことも出来ます。
外したホースに貼るマスキングテープは幅広タイプがオススメです。
ヘッドカバー(ロッカーカバー)取り外し
次にオーナメント、イグニッションコイル、スパークプラグ、ハーネスビルトインクリップを取り外し、ヘッドカバーを固定しているボルト15本を下記の写真の順番通りに緩めていきます。
オーナメント、イグニッションコイル、スパークプラグ取り外し、取付についてはこちらの記事にて徹底解説しています。併せてお読みいただければ幸いです。
※エンジンのヘッドカバーなどを緩める際は圧力を逃すために必ず外側から中央に向かって緩めていきます
ボルトが全て緩めれましたらいよいよヘッドカバーを取り外します。ヘッドカバーが固着している場合はスクレーパーを使用して浮かせたり、プラスチック製のハンマー等を使用し軽く叩くと外せます。
エンジン各部の点検
ガスケットを交換する前に各部の状態を入念に点検しておきます。
プラグホールのガスケットは特に劣化しており、”プラスチック”のように硬くなっていました。
ワッシャーシール・ガスケット組み付け
取り外し、取り付け作業よりも圧倒的に清掃に時間が掛かります。こだわりたい方はいくらでもこだわることが出来るのがDIYの醍醐味です。お店にお願いするとこのような部分の出来栄えでその店の力量が測れます。
エンジンルーム内で落下すると厄介ですので、ヘッドカバーにWASHER SEALを先に組み付けます。
プラグホールの溝4箇所と中央部分も綺麗に掃除します。
新品のガスケットを組み付けます。
新品部品は本来のゴムの質感があり、安心感を感じます。
ヘッドカバーの外周も清掃し、新品のガスケットをセットします。ヘッドカバー側は作業は完了です。
シリンダーヘッド側の清掃
清掃はスクレーパーとオイルストーンを使用して徹底的に掃除します。オイルストーンで研磨する際は、オイルストーンと一緒に専用の油を使用すると摩擦抵抗が減りキズが付きにくく作業性が向上します。(なければエンジンオイルやKURE556でも可)
なお、特に半月状の3箇所についてはオイル漏れの原因にもなりますので念入りに掃除します。
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液体ガスケット塗布
清掃が完了しましたら、半月状の3箇所には液体ガスケットをφ3mmの幅で塗布します。
液体ガスケットは信頼のWAKO’S ガスケットメイクを使用しました。以下の商品リンクから直接購入可能です。
ヘッドカバー(ロッカーカバー)取付
ボルトの締め付けは下図の1→10→11→13→8の順に締付トルク:7.8〜9.8N・mで締め付け、その後、1から順番に15まで締付トルク:7.8〜9.8N・mで締め付けます。※締める時は緩める時と反対に必ず中央から外側に向かって締めていきます
また、下図の①のみ他の②〜15のボルトと長さが異なりますので要注意です。オーバートルクは厳禁です。簡単にボルトが折れます。必ずトルクレンチを使用して締め付けましょう。
オススメのトルクレンチについて記載した記事はこちら↓
外したホースを組み付けて、スパークプラグ、イグニッションコイル、オーナメントを取り付けるとほぼ復元は完了です。
S15 シルビアのヘッドカバー交換における一番の難作業
今回の作業の中で一番の難作業はエンジン奥側のバルクヘッドに対面する箇所にあるアース線と共締めされたブラケットをずらしてヘッドカバーを再組み付けすることです。ボルトを緩める際にエンジンからボルトを完全に取り外してしまうとクリアランスが狭いためボルトを再組み付けするのにとても時間が掛かります。私は完全に取り外してしまったので再組み付けにとても時間を要しました。完全にボルトを外さずに緩めてブラケットをずらすだけにしておくと時短に繋がります。
交換後レビュー
組み付け完了後に試運転を実施し、再度ヘッドカバー ガスケットからオイル漏れがないか点検します。修理後にはオイル漏れは完全に止まり、無事に完治しました。
最後に
昨今のSDGsやカーボンニュートラルのニュースを受けてスポーツカーのリセールバリューが軒並み急上昇しています。エンジンからのオイル漏れが原因で貴重な車両を手放してしまう前に自分でメンテナンスし、修理費を抑えることでさらにリセールバリューを高めていくのはいかがでしょうか。
貴重な車両に既に乗っている方は大切に維持していき、乗っていない人は今の車を高く売却して今後値上がりするであろう車両に乗り替えを検討してみるのも筋が良いと思います。いずれにしても世間の認識としてはもうこの先自分で操作して本来の走る喜びをダイレクトに味わえる車両は発売されないと皆感じているようです。
車のリセールバリューについての記事も書いています。興味があれば是非ともご覧ください。
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