はじめに
油圧式ブレーキを採用した乗用車では必ず定期的なタイミングでのブレーキフルード交換が必要です。一般的には初回3年目、以降は2年毎の頻度で交換します。
車検費用の一部に組み込まれており、なかなか日の目を見ない【ブレーキフルード交換】ですが、今回はNISSAN S15 シルビアを用いて交換方法について徹底解説します。
ブレーキフルード交換作業は車種が変わってもやり方はほぼ同じですので、同じ車種をお乗りのオーナーはもちろんその他の車種にお乗りのオーナーにとっても非常に有益な情報になると思います。(ハイブリッド車のようにブレーキペダルの信号がスイッチを経由して伝達されている車種は除く)
この記事をご覧になりご自身でブレーキフルード交換に挑戦される方が一人でも増えれば幸いです。
また、ブレーキフルード交換について様々な観点から解説した記事も書いています。是非ともご覧ください。
車両情報
・車種名称:シルビア spec R(ターボ)
・型式:GF-S15
・原動機型式:SR20
・初度登録年月:平成13年(2001年)11月
・車種記号:GBYARUYS15UD4E-BAB KH3(ボディカラー:黒) G(内装色)
1桁目(G)…2ドアクーペ
2,3桁目(BY)…SR20DET
4桁目(A)…後輪駆動(2WD)
5桁目(R)…右ハンドル
6桁目(U)…spec R エアロ
7桁目(Y)…手動6速
8,9,10桁目(S15)…S15
11桁目(U)…ターボ(EGI)
12桁目(D)…国内標準仕様
13桁目(4)…4人乗り
14桁目(E)…spec R エアロ仕様
15桁目(-)…標準仕様
16桁目(B)…プライバシーガラス(リアサイド、リアウィンドウ)
17桁目(A)…オーディオレス
18桁目(B)…キセノンヘッドランプ
購入部品と使用工具
ブレーキフルードは日産純正のブレーキフルードを使用しました。使用工具については作業紹介の中で順番に解説します。
・型番:NR-3
・部品番号:KN100-30005
・容量:500ml
・規格:DOT-3
容量は500ml(1本)あれば全量交換が可能です。
また、ハードブレーキングにも対応したDOT4製品を選びたい方はWAKO’Sがオススメです。
・商品名:BF-4
・品番:T131
・ドライ沸点:268℃
・ウェット沸点:174℃
・容量:1L
・規格:DOT-4
街乗りからサーキット走行まで幅広く使用できる高性能ブレーキフルードならこちらがおすすめです。R35GTRやZ34 NISMO等のスーパーカーにはこちらの商品を使用しましょう。
・商品名:SP-4
・品番:T142
・容量:1L
・規格:DOT-5.1
●DOT3規格:ドライ沸点205℃以上、ウェット沸点140℃以上。
●DOT4規格:ドライ沸点230℃以上、ウェット沸点155℃以上。
●DOT5.1規格:ドライ沸点260℃以上、ウェット沸点180℃以上。
※DOTとはアメリカの交通省(Department of Transportation)の略称です
作業紹介
リザーバータンク内のブレーキフルード抜き取り
S15 シルビアのブレーキフルードリザーバータンクは以下の写真のように黄色のリザーバーキャップで蓋がされています。
リザーバータンク内のブレーキフルードの量、色を確認するにはリザーバータンクの後ろ側からライトを照射するとよく見えます。
黄色のリザーバーキャップを外した状態が以下の写真です。リザーバータンク内のストレーナー(いわゆるフィルター)を取り外します。真上に引き上げれば取り外せます。
ストレーナーが外せましたら、オイルチェンジャーを使用してブレーキフルードを抜き取ります。
オイルチェンジャーでブレーキフルードを抜き取った後の写真が以下です。
吸引量はMINレベルギリギリまで吸引します。リザーバータンク内のフロートを取り外せばさらにブレーキフルードが抜き取れますが、ブレーキフルードが減ることによりブレーキ配管内にエアが入っていきますのでMIN以下にブレーキフルードを抜き取るメリットはありません。
ブレーキフルード補給器の車両への取付
ブレーキフルードを交換する際にあると非常に便利な工具がブレーキフルード補給器です。
この商品はリザーバータンク内のブレーキフルード量を常に一定に保つことができ、ブレーキラインへのエアの混入を確実に防ぐことが出来ます。
ブリーダープラグからブレーキフルードを抜くことに専念し過ぎてリザーバータンク内のブレーキフルードを空にしてしまうと全輪のエア抜き作業が必要になりますので非常に有効です。
補給器に新品のブレーキフルードを入れ、キャップを締め、リザーバータンクに逆さ向きでセットします。
補給器をリザーバータンクの淵にネジで固定します。
私は自在ワイヤーを使い、必ず転倒防止をしています。
ホイール取り外し
フロアジャッキと馬を使用し、車両をジャッキアップしタイヤを取り外します。ジャッキアップについてはこちらの記事をご覧ください。安全なジャッキアップ方法について解説しています。
また、タイヤを取り外した際はタイヤの溝の深さや釘などの異物が刺さっていないかなども併せて点検しましょう。タイヤの溝が1.6mm以下になっていると車検は通りません。以下のリンク先をご覧いただき、安くタイヤを交換しましょう。
ブレーキフルード交換
ブレーキフルードを抜くには各キャリパーに設定されているエアブリーダープラグを緩めてブレーキフルードを排出します。エアブリーダープラグはゴムキャップで保護されていますのでゴムキャップを取り外します。
ゴムキャップが貼り付いていて、指でなかなか外せない場合は、マイナスドライバー等を使用します。
キャップが外せましたら、ストレートタイプの10mmのメガネレンチを掛けます。
外径が9mm、内径が6mmのチューブをエアブリーダープラグに挿入します。チューブはホームセンターで1m単位で格安で購入できます。
反対側はチューブの外径と同じ9mmの穴を開けたキャップを通してペットボトルで受けます。
今回は2人作業でブレーキフルードを交換しましたので作業における注意点は以下です。
・ブレーキペダルから足を離す前にブリーダープラグを締める
ブレーキフルードを抜く順番はリザーバータンクから離れている順が基本です。シルビアの場合は、リア左→リア右→フロント左→フロント右の順です。
※正確に実施したい方は自車の整備要領書を確認の上、実施願います。
また、エアーブリーダープラグの締め付けトルク値はS15 シルビアの場合、6.9〜8.8N・mです。トルクレンチを使用して締め付けます。
リザーバータンク液量調整
4輪ともブレーキフルードの交換が完了しましたら、リザーバータンク内に新しいブレーキフルードを注入し、液量をMAXラインに合わせます。
ストレーナーを取り付けて、黄色のリザーバーキャップをセットすれば作業は完了です。
交換後のブレーキフルード
新品のブレーキフルードに対してかなり劣化しておりました。必ず定期的な交換をしましょう。
エアブリーダープラグからのブレーキフルード漏れ点検
各ブレーキキャリパーのエアブリーダープラグからブレーキフルードが漏れていないか点検しましょう。
また、ブレーキフルードを交換している際のブレーキフルードの漏れと区別する為にも作業完了後には清掃することを心掛けましょう。
最後に
いかがだったでしょうか。ブレーキフルード交換作業における交換工賃はざっくりですが、正規ディーラーでは10,000円程度、指定整備工場では5,000円程度、カー用品店では3,000円程度です。手間や準備する工具等々を考慮するとお店にお願いする人も多いと思いますが、こういった交換後に変えたかどうかわからないものほど自分で作業することをオススメします。悪徳なショップでは交換していないのに代金だけ請求するところも未だに存在しています。自分の車の状態は自分で管理することをオススメします。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。車いじりの参考になれば幸いです。コメントやお問合せもお待ちしております。コメントは記事の最下段にある【コメントを書き込む】までお願いします。また、YouTubeも公開しています。併せてご覧頂き、”チャンネル登録”、”高評価”もよろしくお願いいたします。YouTubeリンクはこちら
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