はじめに
国産車は日本自動車整備振興会連合会が会員向けに提供しているFAINES（ファイネス）やオーナー自らが正規ディーラーで購入や問い合わせすることで、整備要領書が確認出来ますが、欧州車などの輸入車になると途端に開示されている情報が減ってしまいます。そこで今回はドイツ車であるBMW MINIのエンジンオイル・フィルター（エレメント）交換作業についてDBA-ZC16 CROSSOVER R60を用いて徹底的に解説します。
同じ車種をお乗りのオーナーはもちろん、BMW MINIにお乗りのオーナーにとっても有料級の情報になると思います。この記事をご覧になりご自身でエンジンオイル・フィルター交換に挑戦される方が一人でも増えれば幸いです。
また、この記事をご覧になる場合は併せてこちらの記事もご覧ください。エンジンオイル交換作業について徹底解説しています。
車両情報
・車名：BMW
・車台番号：WMWZC32080WN*****
・型式：DBA-ZC16
・原動機の型式：N18B16A
・総排気量又は定格出力：1.59L
・ボディカラー：ライトホワイト（B15）
・モデルイヤー：前期2011年1月〜2014年8月
・初度登録年月：2013年（平成25年）3月18日
購入部品
エンジンオイル
エンジンオイルはWAKO’S PRO STAGE-S 10w−40を準備しました。私はいつも20L缶（ペール缶）で購入しています。エンジンオイルは1L缶よりも4L缶、4L缶よりも20L缶で購入する方が割安になりますので今の車両をある程度の年数乗ると覚悟を決めていれば20L缶での購入がオススメです。
4L缶も以下のリンクから購入できます。小売店の中間マージンが無い分、店舗で購入するよりも格段に安く購入できます。
毎回エンジンオイルを使い切って”保管したくない”方には1L缶がおすすめです。
エンジンオイルフィルター
オイルフィルターはMINI純正 11 42 7 622 446を使用します。この純正オイルフィルターにはドレンボルトのガスケット（銅製）とオイルフィルターキャップのガスケット（ゴムリング）が同梱されています。銅ガスケットを別で準備する必要がありませんので、純正部品が圧倒的にオススメです。
ちなみに、オイルフィルターキャップのゴムガスケットはこの位置に取り付けます。交換する際には新油をゴムガスケットに塗ってから取り付けましょう。
ポイパック
古いエンジンオイルを処分する際にはポイパックが便利です。なお、エンジンオイルの処分についてはお住まいの地域毎にご確認をお願いします。
オイルジョッキ
オイルジョッキは蓋があると埃・虫の混入が防げますので蓋付きのもので5Lのものが注ぐ際に重量は重くなりますが、エンジンオイルを一度に注ぎきれて便利です。
計量ボトル
エンジンオイル交換で最も重要なことはエンジンオイルの排出量管理です。どのくらいエンジンから排出されたか確認した上で、新しいエンジンオイルを注入することをお勧めします。
作業スペースの確保
フロアジャッキと馬を使用し、車両をジャッキアップします。ジャッキアップについてはこちらの記事をご覧ください。安全なジャッキアップ方法について解説しています。
CROSSOVER R60はドレンボルトがオイルパンの下面かつ後ろ側に設定されていますので、水平状態でなく、前輪のみをジャッキアップした状態でも問題なくオイルは排出できます。また、CROSSOVER R60のように車高が高い車両であれば、スロープを使用することで作業スペースを確保することも可能です。作業中に車両の下敷きになるリスクも回避できますので非常にオススメです。
作業紹介
エンジンオイルフィルター取り付け位置確認 全体図
DBA-ZC16 CROSSOVER R60のエンジンオイルフィルターは以下の赤丸の位置に取り付けられています。エンジンルーム内は非常に狭く直接上からはエンジンオイルフィルターにアクセス出来ませんので、エアガイドを取り外しスペースを確保した上で交換します。なお、整備要領書にはエキスパンションタンクを外してスペースを作ると指示されていますが、その場合、冷却水を抜く必要がありますので今回はエアガイドを外してエキスパンションタンクをずらしながらスペースを確保する方法を紹介します。
エアガイド取り外し
エアガイドの取り外しにはホースクランプ2箇所とベンチレーションラインの取り外し、2箇所のビルトインクリップの取り外しが必要です。順番に解説していきます。
下側のホースクランプを取り外します。マイナスドライバーもしくは二面幅7mmのソケットレンチを使用して緩めます。ソケットレンチの場合はエスクテンションバーも同時に使用します。
部品と工具の位置関係は以下の通りです。
二面幅7mmのソケットは、日本車ではまず使用することのないサイズです。事前に準備が必要です。
同様にエア マス メーター（通称：エアフロセンサー）の手前にあるホースクランプも緩めます。
二面幅7mmのソケットレンチを使用します。
ベンチレーションラインを取り外します。ウォーターポンププライヤーを使用してクランプをずらします。今回はKnipexのCobraを使用しました。
クランプが外せましたら指でコネクターのロックを解除して取り外します。以下の写真のように両サイドから指でコネクターを押し込むとロックが外せます。
ベンチレーションラインのコネクターが外せましたらエアガイドを外していきます。車両によっては固着してなかなか外せないものもあると思いますが焦らずゆっくりと慎重に外します。
ビルトインクリップはプライヤーを使用すると簡単に外せます。
クリップの後ろ側よりプライヤーで押さえながら押し込みます。
取り外したエアガイドです。エアガイドが外せるとようやくエンジンオイルフィルターを交換するのに必要なスペースが確保できます。
エンジンオイルフィルター取り付け位置確認 詳細
MINI CROSSOVER R60のエンジンオイルフィルター（エレメント）はエキスパッションタンクの固定ボルト（二面幅10mm）1本を緩め、さらに位置をずらすとようやく見える場所にあります。整備性はかなり悪いです。
カメラをエンジンルーム内に入れるとようやく見える位置にあります。
エンジンオイルフィルター取り外し
エンジンオイルフィルターは二面幅27mmのソケット、ソケットアダプター、エクステンションバーを使用して緩めます。工具の長さは差込角凹9.5mmから凸12.7mmに変換するソケットアダプターと50mmと150mmのエクステンションバーを組み合わせた状態が丁度良い長さです。
オイルフィルターキャップが外れましたらゴムガスケットと中のオイルフィルターを新品に交換します。オイルフィルターはフィルターカバーにカチッと嵌るまで押し込むと逆さにしてもフィルターが落ちません。また、ゴムガスケットをフィルターカバーに取り付ける際はゴムガスケットが締め込む際の摩擦で切れないようにする為に、新しいエンジンオイルを薄く塗り取り付けます。
逆止弁作動確認
新しいオイルフィルターをセットする前に逆止弁（non-return valve）の動きがスムーズに動くことを指で押して確認します。
フィルターカバー締め付け
フィルターカバーの締付トルクはカバーに刻印されている通り、25〜30N・mです。トルクレンチを使用して締め付けます。
エンジンオイル汚れを清掃する
オイルフィルターを取り外すとエンジンオイルで車両が汚れますので、吸水性が高いショップタオルとパーツクリーナーを使用して洗浄します。そのままにしておくとエンジンオイル漏れの不具合が発生した際に元々の汚れなのか発生した不具合のオイル漏れなのか区別が付きにくくなりますので徹底的に清掃しておきましょう。
エンジンオイル注入
エレメント交換時におけるエンジンオイル量は4.2Lが指定量です。ちなみにエンジンオイル4.0Lでは、レベルゲージはこの写真の位置にきます。欧州車は普通にエンジンオイルが減りますので定期的な残量確認が必須です。
なお、万が一、エンジンオイルを入れ過ぎてしまった際は落ち着いてこちらの記事をご覧ください。
最後に
いかがだったでしょうか。エンジンオイル・フィルター交換作業は車いじりの中でも初歩的な作業ですが、欧州車のような情報の少ない車両では難易度が上がります。正しい知識、設備、工具を準備して是非ともご自身で作業されてみてはいかがでしょうか。
また、MINIの場合は作業後に診断機を使用してCBS項目のリセットが必要ですのでお持ちの方は実施ください。お持ちで無ければリセットだけディーラーに頼むのもありです。
CBS項目のリセットについてはこちらの記事をご覧ください↓
エンジンオイル交換以外にもたくさんの整備記事を記載しています。是非ご覧くださいませ。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。車いじりの参考になれば幸いです。コメントやお問合せもお待ちしております。コメントは記事の最下段にある【コメントを書き込む】までお願いします。また、YouTubeも公開しています。併せてご覧頂き、”チャンネル登録”、”高評価”もよろしくお願いいたします。YouTubeリンクはこちら
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